欲しい愛と、知らない恋 ２

６４ ページ15

.



「待て待て、風呂？」


「うん、ペットは体洗ってもらったりするでしょ？」


「……いや、まぁそうだけど、」


「私のことは洗えない？」


「う、いや……、ん〜……、」









ペットとご主人様の関係とはいえ
さすがにお風呂に一緒に入って体を洗ってもらいます、みたいなのは出来ないよね？

んー、って考え込んでるひろに
内心どっきどき。

そこまで平気でされたらさすがにメンタルが、

「まぁ、いっか。」


「へ？」









抱きつく私の顔を覗き込みながら
様子を伺うようにそう言い放った。









「風呂で体洗ってやるよ」









ニヤリとしながらの
まさかまさかのその回答に目を見開いた。









「えっ、ちょっ、ほんきで…？」


「Aが言い出したんだろ、最初に」


「そ、そうだけど…っ、」






まさか本当にそこまでしてくれると思わないじゃん…。

やっぱりひろは
私のことなんてペット以上には思ってなくて
ペットとしての愛情をそそいでるだけなのかなって。


それなのに私は…、








.








「…やっぱりやだ。」


「は？」


「恥ずかしいから一人で入るっ」


「はぁ？
せっかくもう入る気満々だったのに？！」








脱がせるのもやったげるぞ？って
Tシャツの裾を捲ろうとするから
身を捩って腕の中から抜け出した。









「ばかっ！えっち！」


「だからそっちが誘ったんだ、

「ばかーっ！！」









大きな捨て台詞を残して
バタン…、と浴室へと逃げ込んだ。







.








.








広い脱衣所の扉を背に
ズルズルとしゃがみ込み、









「持ってくるの忘れちゃったよ…、着替え…」









ポツリと呟いた。









ダメだな。

やっぱりペットとしてここにいないと。


どきどきしないで
ペットとしての役割をちゃんと果たさないと。









立ち上がると鏡に映る自分の顔が赤くなってるのに気付いて
パンっと頬を叩き、気合を入れ直した。

６５ 玉森side→←６３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す