73,頬に ページ23
碧井「二人がコンビニで
話してる時に近くにいて…」
A「えっちな本は読んでないよ？煙草買っただけで…」
碧井「ふふ、冗談なのはわかってる」
最初に気にするの、そこなの？
つい笑っちゃったよ。
碧井「バーで飲んだあと、会いたくて仕方なくなって…
でも二人が話してる所に割り込めないから
そのまま、あの場所で隠れて盗み聞きしちゃったんだ…」
A「そうなんだ」
彼女が俺を責める様子はない。
碧井「ごめんなさい…」
A「いいよ」
碧井「！」
責めるどころか、あっさり許してくれた…。
A「会いたかったんだ、私に」
碧井「うん…」
A「ふふ、嬉しいな」
碧井「…っ」
笑う彼女が、眩しいくらい可愛い。
碧井「……好き」
A「！」
思ったことが、そのまま声に出た。
碧井「他の誰かに渡したくない…」
A「うん…」
碧井「Aちゃん…好きだよ」
A「…ありがとう」
照れた顔で俯くAちゃん。
…風邪じゃなきゃ今すぐキスしていたところだ。
A「………」
碧井「！」
彼女が俺に近づいて、頬にキスをされた。
A「今はこれだけね？」
碧井「…っ」
真っ赤な顔で上目遣いは…ずるい。
碧井「…治ったら、いい？」
A「うん…」
すごく可愛い。
もう“可愛い”だけじゃ表現しきれないくらい可愛い。
碧井「………」
…ふと、水無瀬さんを思い出してしまった。
彼の前でも…こんなに可愛い顔をするのかな？
俺だけがいいのに……。
碧井「ありがとう…。少し休ませてもらうね」
A「うん！そーして！」
考えないように、眠ることを選んだ。
そのまま一晩泊めてもらい、翌日には回復した。
碧井「ごめんね…二晩もベッド奪った…」
A「だって風邪引いてるのに
隣で寝られたら、碧井くん気を遣っちゃうでしょ」
碧井「床や椅子で寝させてしまうのも気を遣うよ…」
A「難しい問題だ」
昨夜の彼女は椅子で座ったまま寝ていた。
本当に申し訳ない…。
碧井「今日は帰るね。
…その、来週からはまたお泊り会できそう？」
A「うん！お泊り会したい！」
碧井「よかった。…次はどうしよっか」
A「ウチで良いんじゃないかな？」
碧井「わかった」
A「じゃあ、今日は家でゆっくり休んで」
碧井「ありがとう」
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作者名：麦兎 | 作成日時：2021年10月21日 0時
