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61,偽物 ページ11

その後、ライブ関係者達で
会場の片付けを進める。

「さっきの人かっこ良くなかった?」

「んー、私は碧井さんの方が好み」

「Aさんと話してた人だよね?イケメンだったなぁ」

出演者の女性グループが盛り上がっている。
少し離れたところにいるけど…部分的に会話が聞こえた。



A「あのね…別に悪い人じゃないんだ」

碧井「うん。優しそうな人だったね」

エマ「元カレさん、外で待ってましたよ」

A「だよね…」

俺自身、まさかの元カレ登場に動揺したが
彼女もまた、浮かない顔だ。

碧井「大丈夫?」

A「大丈夫。…でもさ、別れたのに会いに来るって
メンタル強過ぎるよね…」

エマ「未練タラタラって気がしますね」

A「うーん…でも水無瀬さんは良い人だし…
無視するのも申し訳無いなぁ…」

エマ「碧井さんが一緒にいてあげたらどうです?」

碧井「Aちゃんの迷惑じゃないなら、そのつもりだよ」

A「ありがとう」



片付けを終え、完全撤収の時間前には解散した。

他の人の目に付くのは避けようと
俺達は最後に会場を出る。

エマ「じゃあ、あとは任せますね」

碧井「うん。お疲れ様」

会場の外にはやはり水無瀬さんが待機していて
エマちゃんは邪魔にならないように
すぐ駅の方向へ向かって歩き出した。

A「…お待たせしました」

水無瀬「お疲れ様。…彼は確か、碧井さんでしたか?」

碧井「はい」

水無瀬「お疲れ様です。とても素敵な演奏でした」

碧井「ありがとうございます」

水無瀬「………。彼と、帰る予定だった?」

A「…はい。その…今は碧井くんとお付き合いしていて」

水無瀬「そうなんだ…。もう大丈夫なの?」

A「いや、まだ……
だから、お試しで付き合ってもらっています」

水無瀬「お試し…?」

少し考える素振りを見せてから、水無瀬さんは口を開いた。



水無瀬「じゃあ、俺とも“お試し”で付き合ってくれない?」

碧井/A「「えっ」」



思わず声が出た。

水無瀬「だって、お試しなんでしょう?」

A「そう…ですけど……それって二股なんじゃ…」

水無瀬「俺は構わないよ。
“本物”のお付き合いではないしね」

碧井「………」

確かに、俺達の関係は“本物”ではない。

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設定タグ:オリジナル , 男主人公 , 片想い   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:麦兎 | 作成日時:2021年10月21日 0時

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