039 すれ違う恋人たち ページ39
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日も暮れて、蒸し暑かった空気も少し涼しくなった午後６時。用事があった大貴くんは数時間前に家を出ていて、駅前の公園で待ち合わせ。
下駄という慣れない履物をカラン、コロン、と響かせて、少しだけ遅れて到着した公園は、たくさんの人で溢れかえっていた。
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約束していた時計台の近くまでやってくると、人混みの中でもすぐに彼の姿が目に入った。
時計台にもたれかかって、スマホをスクロールしている様子。ラフな白Tシャツなのに、浴衣を着ている男の人たちの中に紛れても一番に輝いて見える。やっぱり大貴くんは特別だ。早く会いたいのに、わたしを待っている姿にもキュンとしてしまう。何この気持ち。何このドキドキ。
速くなる鼓動を隠しながら、もっと近づいて……
｢…………大貴くん、！｣
周りのガヤガヤに負けないように大きな声で名前を呼んだら、わたしの声に気づいた大貴くんがキョロキョロと辺りを見回している。
そして数秒後にはパチリと目が合い、ふわっと嬉しそうに笑ってくれた。
｢…………ごめんね、遅れちゃった。｣
大貴｢全然。俺も今着いたとこだし。｣
………嘘ばっかり。
大貴｢…………、｣
じっとわたしを見つめたまま、何も言わずに黙り込んでいる大貴くん。ゴクリ、と唾を飲む立派な喉仏が見える。ふふ。わたしの視線に気づいて、慌てて目を逸らす姿も可笑しい。
大貴｢……………いや、うん、………あの、｣
｢……？｣
口をパクパクさせて、何を言おうか迷っている様子。逸らされた視線がチラチラと戻ってきては、すぐにまたどこかへ。いや……うん……、と首の後ろを掻きながら照れくさそうに耳まで赤らめた大貴くんが、意を決したように小さく呟く。
大貴｢……………め、ちゃくちゃ可愛い、…よ、｣
｢っ、｣
途切れそうなほどの小さな声でも、しっかり耳に届いた優しい言葉。照れくさそうな姿が可笑しくて、嬉しくて。わたしのほうこそ、何を返せばいいかわからなくなってしまう。
｢…………ありがと、｣
大貴｢何照れてんだよ。｣
｢大貴くんだって、！｣
大貴｢うっせ。……ほら、行くぞ。｣
照れてるの自分じゃん。わたしばっかり馬鹿にして。もう。歩き出した大貴くんのすぐ後ろを、ちょこちょこと小さな歩幅で追いかけた。
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むぎ(プロフ) - まくるさん» ありがとうございます！大変なご時世だからこそ、少しでもみなさまの息抜きになればと思っています(^ ^) この新作もキュンキュンしていただけるように頑張ります。これから色んな展開が出てきますので、最後までよろしくお願いします☆ (2020年7月4日 19時) (
レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
まくる(プロフ) - 初コメント失礼します。新しい作品ですね、おめでとうございます！いつもキュンキュンしながらむぎさんの作品を拝見させて頂いております。こんなご時世で大変かもしれませんが、自分のペースでいいので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 968d5c61de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2020年6月28日 15時
