038 イチコロ ページ38
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ユキ｢よし、完成。どう？｣
｢わぁ、すごい。これが浴衣……、｣
姿見の前に立って、腕を軽く広げ、くるっと回ってみる。
これが『浴衣』か。なんだか不思議な着心地だけど、涼しげでとっても可愛い。
ユキ｢すっごく似合ってる。｣
｢ありがとうございます、｣
わたしの隣に立って、一緒に姿見を見ながら満足げなユキさん。かっこいいな。何でもできちゃうんだ。
ユキ｢髪の毛もやってあげる。ここ座って？｣
そう言ってユキさんはわたしの長い髪を丁寧にとき、毛先をゆるく巻いて、後ろでひとつにまとめてくれた。こんな髪型初めてで、なんだか首の後ろがスースーするけれど。少し動くと控えめな髪飾りが揺れて、なんだか女の子になった気分だ。
ユキ｢これでもうイチコロよ。｣
｢……うーん、｣
ユキ｢だーいじょうぶ。アップにした髪、揺れる髪飾り、大人っぽい淡い色の浴衣！……あの子の心臓がもつのも時間の問題ね。｣
ニヤニヤと嬉しそうな笑みをこぼすユキさんは、大貴くんの好みを何もかもわかっていそうな顔だ。
ユキ｢それで、あなたは大貴が好きなの？｣
｢…………、｣
ユキ｢まあわたしが口出しすることじゃないし、偉そうなことは言えないけど。自分には正直になったほうがいいわよ？｣
｢…………でも、｣
ユキ｢色んな事情があるのは仕方ないんだから、結局『今』を楽しむしかないじゃない。何事にも終わりはあるし。例えすぐそこに、別れが待ってるとしてもね。｣
なんだか、何もかも見透かしているようなユキさんの言葉に、今日も心が動かされる。
すぐそこに別れが待っていたとしても、今を楽しむしかない……。本当に必要なのは『遠慮』じゃなくて、一緒にいられる時間をめいっぱい楽しむこと……？
何度も鏡の前に立って、髪が崩れていないか確認するこの時間さえも。好きな人に会うためなら、楽しくて仕方のない時間なのだと初めて知った。
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むぎ(プロフ) - まくるさん» ありがとうございます！大変なご時世だからこそ、少しでもみなさまの息抜きになればと思っています(^ ^) この新作もキュンキュンしていただけるように頑張ります。これから色んな展開が出てきますので、最後までよろしくお願いします☆ (2020年7月4日 19時) (
レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
まくる(プロフ) - 初コメント失礼します。新しい作品ですね、おめでとうございます！いつもキュンキュンしながらむぎさんの作品を拝見させて頂いております。こんなご時世で大変かもしれませんが、自分のペースでいいので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 968d5c61de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2020年6月28日 15時
