036 好きな子 ページ36
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8月28日。
人間の世界、4日目。
｢花火大会？｣
大貴｢そう。夜空に大っきい花が咲くの。夏の風物詩なんだよ。｣
風物詩……、
大貴くんは難しい言葉をたくさん知っている。この数日間で、綺麗な言葉をたくさん覚えた。
大貴｢だから、一緒に見よう？｣
朝一番、『花火大会』と大きく書かれたチラシをわたしの前に置いて、どこか嬉しそうな大貴くん。
華やかなチラシの写真。こんなの生で見たら綺麗だろうな。海の底では見られない、きっと人間ならではの特別なもの。
大貴｢すげー綺麗だから、見せたいんだよね。｣
Aに、って。
そう言った大貴くんは、恥ずかしいからか、チラシを見つめたままこちらを向くことはなかったけれど。それでも、わたしに見せたいと言ってくれたことが嬉しかった。
大貴｢じゃあ今夜、楽しみにしてて。｣
｢うん。｣
大貴｢それと、もうひとつお願いがあるんだけど……｣
花火大会、とやらに行くことが決まると、今度は大貴くんが少し言いづらそうな顔で呟く。
あ、いや、うん………なんて言葉に詰まりながら首の後ろを掻いたりして。
大貴｢……………浴衣、着てくれないかなって、｣
｢、ゆかた？｣
大貴｢そう。女の子が着るとさ、すげー可愛いんだ。いつもと違う雰囲気っていうか、その、ドキドキすんじゃん。｣
照れくさそうに視線を逸らす大貴くんに、なんだか少しだけモヤモヤするのは何故だろう。
誰の『浴衣』を見て、ドキドキしてきたの？女の子が着ると可愛いって、今まで誰を見て思ってたの？ああ、めんどくさい。わたし、いつからこんな…
大貴｢………好きな子が着てるの、見たことないから。見てみたいんだよ。｣
｢へ……？｣
大貴｢あ、んまり深く聞かないで。わかるでしょ。｣
｢………、｣
大貴｢ね、姉ちゃんもさ！Aに浴衣着せたいってうるさくて。だから、その……一石二鳥？みたいな。｣
｢……………、｣
大貴｢と、とりあえずそういうこと！姉ちゃん夕方くらいに来るみたいだから！よろしく！｣
言葉を失ってしまったわたしに、大貴くんは早口でペラペラと話すと、じゃあ！とどこかへ逃げていってしまった。
何もカモフラージュになってないよ。だって今もまだわたしの心臓、ドキドキしてる。
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むぎ(プロフ) - まくるさん» ありがとうございます！大変なご時世だからこそ、少しでもみなさまの息抜きになればと思っています(^ ^) この新作もキュンキュンしていただけるように頑張ります。これから色んな展開が出てきますので、最後までよろしくお願いします☆ (2020年7月4日 19時) (
レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
まくる(プロフ) - 初コメント失礼します。新しい作品ですね、おめでとうございます！いつもキュンキュンしながらむぎさんの作品を拝見させて頂いております。こんなご時世で大変かもしれませんが、自分のペースでいいので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 968d5c61de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2020年6月28日 15時
