034 海の生き物 ページ34
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午後10時。
大貴｢ちょっと散歩してくる。｣
ラフな格好で立ち上がり、出かけようとする大貴くんに、いつもは頷くだけのわたしも今日は言ってしまった。
｢………わたしも、｣
大貴｢ん？｣
｢わたしも行っていい？｣
お邪魔だったかな、って不安になったけど、大貴くんはどこか嬉しそうに頷き、笑ってくれた。
大貴くんはこの時間になると毎日散歩に出かけている。日課なのか、夜の海が好きなのか。
大貴｢いいでしょ？夜の海も。｣
｢……うん、｣
確かに、夜の海も綺麗だ。
人のいない砂浜に２人して腰を下ろし、ユラユラと揺れる真っ暗な水面を眺める。そうか。大貴くんはここで毎日ゆっくりしているんだね。新しい一面が知れた。………なんて、嬉しくなったのもつかの間。
大貴｢よし、じゃあ始めるよ。｣
｢え？｣
気合いを入れて立ち上がり、歩き出した大貴くんに訳もわからず着いていくと。ゴミ袋とトングを手に、砂浜に落ちている空き缶やタバコの吸殻を拾い始めた。
｢ゴミ拾い？｣
大貴｢うん。小さい頃からの日課でさ。やらないと気持ち悪くて。｣
ふふ、と笑った大貴くんに、思わず足を止めてしまった。
大貴｢…………A？｣
立ち止まったわたしを振り返って、ん？と大貴くんが首を傾げる。何、何なの………この気持ち。
｢毎日？毎日ゴミ拾いしてるの？｣
大貴｢え？……うん、｣
｢どうして？｣
大貴｢どうして、って………ゴミないほうが気持ちいいじゃん。それに、俺たちだけの海じゃないしさ。｣
｢え……？｣
大貴｢海には生き物がたくさんいるでしょ？人間のせいで暮らしにくくなったら、可哀想だし。｣
元々は生き物たちのものだしね、って。
何でもないことみたいに、当たり前みたいに、そう言う大貴くんがすごくかっこよくて。ジワリと涙が込み上げてくる。だって、だってさ………
大貴｢なんで泣くの、｣
そう言って笑う大貴くんに、抱きついてしまいたかった。
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むぎ(プロフ) - まくるさん» ありがとうございます！大変なご時世だからこそ、少しでもみなさまの息抜きになればと思っています(^ ^) この新作もキュンキュンしていただけるように頑張ります。これから色んな展開が出てきますので、最後までよろしくお願いします☆ (2020年7月4日 19時) (
レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
まくる(プロフ) - 初コメント失礼します。新しい作品ですね、おめでとうございます！いつもキュンキュンしながらむぎさんの作品を拝見させて頂いております。こんなご時世で大変かもしれませんが、自分のペースでいいので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 968d5c61de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2020年6月28日 15時
