026 結露 ページ26
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確かに手は冷たい。どう見たってベタベタだし、大貴くんだって心配するほど結露に負けていたんだろう。だけど、
｢…………大丈夫、｣
そう言うしかない。
不思議そうにした大貴くんが、あ……と何かに気づいたように手を引っ込めた。
大貴｢そっか、だめだったね。ごめん。｣
｢う、ううん。｣
大貴｢ちょっと待ってて。｣
なんで謝らせてしまうんだろう。大貴くんの優しさなのに。素直に受け取ることができない自分が、この壁が、もどかしい。
やっぱりみんなが言う通り、人間に恋をするなんて無謀なのかも。叶わないと言われていても、どこかで信じてる自分もいたのに。こういう小さなことでも負けそうになるんだからわたしはやっぱり、『海の生き物』なんだね。運命は変わらない。
どこかに行ってしまった彼を待ちながらひとりため息をついていると、
大貴｢ん、手貸して？｣
｢…………、｣
タオル越しなら大丈夫でしょ、と大貴くんは柔らかく微笑みながら、自分の手のひらでタオルを広げてくれた。触れちゃったりしないかな、と不安に思いつつも、恐る恐るそこに手を乗せる。
｢…………っ、｣
ぎゅっと包み込んでくれたそのタオルは柔らかくて。
それが大貴くんの心みたいで、さっきの気持ちも重なって、危うく涙まで零してしまいそうだった。飲み込んだ言葉も思いも、うまく伝えられないけれど。
｢………ありがとう、｣
大貴｢ん。ちょっとは温まった？｣
｢うん。｣
すげー青白い手してたからさ、って。
やっぱり心配してくれたんだね。大貴くんはいつでも、わたしを『女の子』にしてくれる。無意識でも、そうやって大事にしてくれるところが優しいんだよ。だからモテるんだ。全然『ああ見えて』なんかじゃない。そりゃモテるよ。
いくつもいくつも、大貴くんの優しさに触れては、寂しさばかりが募っていった。
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むぎ(プロフ) - まくるさん» ありがとうございます！大変なご時世だからこそ、少しでもみなさまの息抜きになればと思っています(^ ^) この新作もキュンキュンしていただけるように頑張ります。これから色んな展開が出てきますので、最後までよろしくお願いします☆ (2020年7月4日 19時) (
レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
まくる(プロフ) - 初コメント失礼します。新しい作品ですね、おめでとうございます！いつもキュンキュンしながらむぎさんの作品を拝見させて頂いております。こんなご時世で大変かもしれませんが、自分のペースでいいので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 968d5c61de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2020年6月28日 15時
