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023 風鈴 ページ23

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8月26日。

人間の世界、2日目。









「何これ!」






大貴「んー?」









朝の心地よい風を浴びようと縁側に腰掛けると、昨日は聞こえなかった綺麗な音色が耳を掠めた。

チリン、チリン……と音のするほうを見上げると、何やら不思議なものがぶらさがっていて、風が吹くたびにユラユラと揺れている。









「これなあに?」





大貴「ん?あーこれはね、風鈴って言うの。」





「ふーりん?」





大貴「そう。風が吹くと、こうやって綺麗な音が鳴る。」





「へぇ……、」





大貴「ちょっと涼しくなるでしょ?」









そう、大貴くんが教えてくれた。

人間は不思議だ。音で涼しくなるなんて。難しい言葉で『風情』と言うらしい。









大貴「Aには難しい?」









クク、と笑う大貴くん。やっぱりお嬢様だって信じちゃってるのかな。でもそのほうが色々と都合が良いというか、わたしの言動にも不思議がられなくても済むし、否定するのもやめてしまった。

でも、









「………ほんとだ、」





大貴「お、わかる?」





「うん。涼しい。」









目を閉じると、その音が耳に残って、涼しくなる気持ちが少しだけわかったような気がした。

『風情』か。人間らしい素敵な言葉。









「綺麗な音だね。」





大貴「…………うん。」









風に揺れる風鈴を見つめながらそう呟くと、わたしの横顔をしばらく見つめて、大貴くんがゆっくり頷いた。

何を思って見つめていたのか。尋ねる勇気も、目を合わせる勇気もないけれど。でもそういう仕草ひとつひとつに惹かれていく。嬉しいのに、少しだけ怖い気持ちもあって。自分がわからなくなる。









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むぎ(プロフ) - まくるさん» ありがとうございます!大変なご時世だからこそ、少しでもみなさまの息抜きになればと思っています(^ ^) この新作もキュンキュンしていただけるように頑張ります。これから色んな展開が出てきますので、最後までよろしくお願いします☆ (2020年7月4日 19時) (レス) id: 88d801cec9 (このIDを非表示/違反報告)
まくる(プロフ) - 初コメント失礼します。新しい作品ですね、おめでとうございます!いつもキュンキュンしながらむぎさんの作品を拝見させて頂いております。こんなご時世で大変かもしれませんが、自分のペースでいいので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 968d5c61de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎ | 作成日時:2020年6月28日 15時

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