スクラブ男子 2nd season (２)

062 素直になれない ページ13

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名取side









名取｢フェローにしっぽ振って甘えてるやつなんかに、言われたくねーっつの。｣






｢甘えてなんかないもん！｣









苦しそうに涙を流すAを、見ているのは誰よりもつらいくせに。Aを傷つけるような言葉しか口にできない自分に腹が立つ。最低だ。こんな旦那、こんな父親。









｢…もういいっ、もう知らな、｣






名取｢っ、｣









山田から少し離れていたAがまたぐらついて、支えようと伸ばしかけた手は、また振り払われる。









名取｢………お前に、負担かけすぎたな。｣





｢…………、｣





名取｢実家でも帰れよ。｣









俺ら、１回離れたほうがいい。

なんて、思ってもない言葉がどんどん出てくる。どうしたらいい。実家になんか帰られたら、困るのは俺のほうなのに。Aの笑った顔、おっきくなったお腹、全部見れなくなんのに。こんなこと、言ったら……









｢………そうだね。最近帰ってなかったし、そろそろ顔見せたほうがいいね…っ、｣






名取｢…………、｣









ぽろぽろと涙をこぼすAから、咄嗟に目を逸らす。









｢………ごめんね、｣









そう、小さくつぶやいて歩き出すA。

下まで送ろうとした岡本を山田が引き止めて、｢俺が行く｣と付き添っていった。何も言えずに、目すら合わさない俺を、伊野尾が冷たい目で睨む。もうほんとうに、戻れないかもしれない。お互いが思ってることを言えない関係なんて、夫婦じゃない。







どうして、黙ったまま時が過ぎる？こんなにも、こんなにもお互いを思い合っているのに、どうして素直になれない？









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