ちょっと強くなりすぎた。2【hpmi】

67. ページ32

・








『テリトリーバトル……』





校内の掲示板に大きく貼り出されたポスター。

中王区から配布されたそれには、「第一回ディビジョンラップバトル」と書かれている。


………いよいよ来月、バトルが始まる。

互いの領地をかけて、それぞれのディビジョンの代表達がぶつかり合う。

その日は中王区から生中継で大会の様子が見られるらしい。





「あー、これもう来月なんだね」

「イケブクロってヨコハマディビジョンとぶつかるんだよね？」

「そうそう。ヨコハマって言えば、左馬刻様だよね！」

「一郎さんもかっこいいけど、左馬刻様もかっこいいよね〜」





目の前を通って行った下級生の女子達の会話が耳に入った。


………あの二人、あんなに人気なんだ。

まあ当たり前って言えば当たり前だけど。

私の中だと顔を合わせればいつも喧嘩してるイメージしかないけどな。





「姉ちゃーん、お待たせ！あれ、何か良い事でもあった？」





帰り支度を終えた弟と合流するや否や、不思議そうに首を傾げられた。

何故かと問えば、「だって、今笑ってたから」と。

思わずほっぺたを抓った。





「………。あ、もしかして来月母さんに会えるからら？」

『そ、そうそう！』





誤魔化して笑えば、翼は「俺もだよー」と無邪気に笑った。

……何だか罪悪感。





「あれ、そういや母さんと父さんのデートって今日だっけ？」

『あーそういえばそうだね…ほんといつまでも新婚みたいなんだから』

「また延々と惚気聞かされるよ」

『親の惚気なんて聞きたくないんだけどなあ…』









数時間後、超絶長文のデートの感想が送られてきました。






・

68.→←66.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す