ちょっと強くなりすぎた。2【hpmi】

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「……で？」

『そのまま眠っちゃって……目が覚めたら自分のベッドで寝てました』





ちーん。

という効果音が付きそうなくらいどんよりとした空気を纏っているA。

昼休みの屋上でこんなテンション低いのなんて、この子くらいだと思う。





「ふぅん……ま、翼くんが来てくれて良かったじゃん」

『そうだけど………ああどうしよう醜態を晒してしまったぁぁぁぁぁ』





頭を抱えて蹲るAを他所に、お弁当のミートボールを口に放り込む。

どうやらこの子は相当気にしているらしい。




…私からしてみれば、色々深く聞きたい事が他に沢山あるんだけどね。

あの時電話越しでだけど左馬刻様と話せただけでも私はテンション爆上がりだったのに、Aはそんな全碧棺左馬刻のファンが羨むような事体験しちゃってるからね。

まあこの子からしてみればトラウマでそれどころじゃなかったと思うけど。





『……それでね、変な心配とか迷惑かけちゃっただろうし、お詫びしないとなって思ったんだけど……何でか翼にめちゃくちゃ止められるんだよね。何回も行った事あるから大丈夫なのに』

「…………へえ」






何でだろうね？と首を傾げるA。

うん、翼くん絶対警戒してるやつだよね。

年々シスコン具合が増してる気がするけど大丈夫かこの姉弟。






「そう言えばA、左馬刻様から貰ったイヤリングはどうしてるの？｣

『え？ああ…あれならずっと引き出しの奥に仕舞ってあるよ。使うの怖いから』

「そう……だったら、次会う時はちゃんとそれ付けて行きなよ」

『…なんで？』

「なんでも」






怪訝な顔をするAは、きっと気付いていない。

自分へ向けられている色々な人の本当の想いを。

イヤリングをプレゼントする意味を。


…………でも。





「……でも、まだ何も知らなくて良いからね」

『？、何か言った？』

「…ううん、何でもない。
ほら早くお昼食べないと、昼休み終わっちゃうよ？」

『う〜〜分かってるよ〜』






まだ、何も知らないAでいて。

いつか彼らの気持ちに気付くとしても。


今はまだ、このままで。







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