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52. ページ17








────とても困った事になった。





「おいオッサン、聞いてんのか?あァ?」

「早く金出せって言ってんだろうが」





○連勤目の今日。

お昼を買いに外へ出たところ、運悪くカツアゲに遭ってしまった。

昼時の混雑を避けて少し会社から離れたコンビニまで来てしまった俺が悪いんだ…

そう…今日課長の機嫌が悪いのも、コーヒーが不味かったのも、コピー機が壊れたのも、

全部全部、俺のせい俺のせい俺のせい……





「チッ、寄越さないなら力尽くで───」


『あああ!!そこの人達危なーーーい!!!!』





ネガティブループに入っていた時。

突然、そんな叫び声が俺の耳に入ってきた。

驚いて顔を上げると、女の子が降ってくる所だった。

……って、





「ん!!?」






大変だ、ついに働きすぎで幻覚が見えるようになったのか??





『いたた……ちょっとミスったな…』





俺の目の前にいた男達を張り倒して着地した女の子。

色々情報を整理しきれなくて硬直していると、顔を上げたその子と目が合った。





「っ…!」





思わず、息が詰まった。

だってものすごく、綺麗な人だったから。


黒猫を連想させるような容姿の彼女は、俺を目に入れると、その金色の目を丸くした。





『観音坂さん…!?』

「えっ!?」





驚いて上ずった声が出た。


待て、何で俺の名を知っているんだ…?

俺とこの美女は初対面のはず…

ま、まさか俺の記憶が無いだけでこの美女に何かやらかしてしまったのか…!?





「待てこのアマ!!」

「う、嘘だろ本当に飛び降りやがった…!」





大パニックを起こしていると、今度は怒号が頭上から降ってきた。

見上げると、ビルの窓から身を乗り出している、何だかとても柄のよろしく無い男達が見えた。

真っ当に生きていたら早々出会わないような見た目だ。





『やっば……観音坂さん、走ってください!』

「へっ?え?えぇ!!?」





そんな男達を見るなり、見知らぬ美女は俺の手を取って走り出す。

訳が分からないまま、美女に引っ張られ(もつ)れる足を必死に動かして走った。


「昼時のシンジュクを美女とオッサンが手を繋いで疾走中」

という如何にも訳がありそうな図になってしまったが、会社の人に見られていない事だけを祈るしかなかった。




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みゆ - 続き気になります〜!更新待ってます! (1月20日 15時) (レス) @page34 id: 38735f9208 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 続き気になる〜更新がんば (2022年5月20日 21時) (レス) @page34 id: e3725c1631 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え?続きが気になるぅ!!更新頑張ってください! (2021年9月11日 0時) (レス) id: efb845659a (このIDを非表示/違反報告)
しっとりチョコがすごく食べたい。 - うぅ……癒しを!!癒しを恵んでください!!更新待ってますぅぅぁぁぁ!! (2021年1月10日 15時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
けい - お話めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年12月25日 16時) (レス) id: 54e19010c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麦子 | 作成日時:2018年12月6日 22時

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