夢寐 Ⅲ (ページ5)

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絆創膏をつけた終えこれで終わりかと思えば
嫌がらせかのように傷口を叩いてくるから
やめさせようとAの手を掴む

『…おま、いてえよ』

「…自業自得でしょ？」

『叩くことはねぇ…っと、言いたいことはそれじゃなくて』

今言わないと絶対後悔するぞ元木湧！
深く深呼吸をして口を開く

『Aごめん。俺が悪かった。』

俺が初めて彼女に頭を下げた瞬間だった。

「遅い。このまま謝らないなら本気で別れようと思ってた」

ムスッとした顔で言葉を発したA

『は？え？？』

え？本気？どういうこと？俺の頭の中はパニックで

「別れたかったらそれでもいいけど？」

『いや、無理。それはぜってぇ無理！』

追い討ちをかけるように放たれた言葉に
俺が必死に“無理“を連呼した所で
開いた保健室の扉から登場したのは平塚

「Aちゃん遅れてごめーん。」

「平塚くん、サボる気だったでしょ？」

“えー違うよぉ。先生に呼び出されてただけー”
なんて俺を置いてきぼりにして話を進めていく
平塚が近くのテーブルに“ドン”と荷物を置いて
ようやく気づいた俺の存在

「あれ、湧、怪我したのー？」

『お、おう。』

あ、なんか嫌な予感する

「湧、心狭くてごめんねってAちゃんに言えたー？」

「へー心狭いって分かってたんだー。ふーん。へー」

すげーニヤニヤしなが言いやがった
くそ、平塚のやつよけーなこと言いやがって

『…そーだよ。わりぃか』

「ぜーんぜん。湧ちゃんが大人になってくれて嬉しい限り！」

いつも通りに笑うAに俺はホッと胸を撫で下ろした

『傷の手当て』

fin