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愛の逃避行＊KuK ページ23
会社帰りの金曜日
久々に連絡がきた彼氏から話があるとファミレスに呼び出される
店内を見るとまだ着いていないようで
コーヒーを飲みながら席に座って待っていると
よく見慣れた男女2人が向かいの席座った
「Aごめん！別れてほしい！」
「先輩ごめんなさい。お願いします。」
開口し机に頭をつける勢いで下げる目の前の男
男に後に続き謝罪の言葉をいう女
なんとなく浮気してるなと感じていたから驚きはしなかったけど
女のお腹が少し大きくて“ああそういう事ね”と冷静な自分がいる
謝罪を続ける2人をただただ黙って眺めていると
何も言われないことに焦ったのか聞きたくもない弁明をし始めた
男は私の彼…改め元彼で
女は3ヶ月前に寿退社という名目で辞めていった会社の後輩だった
出会いはうちの会社で定期的に開催される家族ぐるみの交流会
いつの間に連絡先を交換したのか知らないが
2人の関係はもう数年前から始まっていて
今は後輩のお腹の中には新しい命が宿っている
随分なことをされてるのに涙のひとつも
怒りも湧いてこず呆れた気持ちしか出てこない
さっさとこの場から離れたくて
机の上に1,000円札を置き立ち上がると
「A待って！」
引き止める元彼を一瞥し
私がかけた言葉は“合鍵今直ぐ出して”だった
その言葉を聞き慌てた様子でポケットに手を入れると
複数ついた鍵の中から合鍵だけを外して机の上に置く
合鍵を滑らせるように取り
「荷物は捨てておくから。お幸せに」
最後にそう言葉をかけてファミレスを後にした
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作者名：Soda | 作成日時：2022年10月25日 19時
