夢寐 Ⅲ (ページ22)

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程なくして上映が始まる
都会ではなかなか味わうことの出来ない
満点の星空にこの雰囲気のあう曲

「綺麗…」

身体中が星空に包まれている感覚になり
思わず声に出して呟くと

『ほんと綺麗だね。癒されるなぁ』

気になって横目でチラッと北川くんを見ると
目を細めてリラックスしているみたい
自分だけが緊張しているのかと思うと
意識もされてないんだなと
ちょっとだけ複雑な気分になる

上映は続き
空が変化し流れ星が降り注いできた
今度はオルゴール調に変わり雰囲気もガラッと変わった

結構な時間体を動かさないようにしていたからか
流石に疲れてきてちょっとだけと思い少しだけ動かすと
私の手がかすかに北川くんの手に当たってしまう

咄嗟に“ごめんね”と謝ると
北川くんが手を繋いできて
私たちの間にあった隙間が少しだけ狭くなる

『Aちゃんが可愛いから繋ぎたくなっちゃった。
　もし嫌だったら手、離していいよ』

星空を見上げながら
そんな意地悪なこと言わないでほしい
言葉にするのが恥ずかしくて
北川くんに少しでも私の気持ちが伝わるといいなと
流れ星に願いを込めて繋がれた手に力を込めギュっと握り返すと
さらに近づく北川くんとの距離

『Aちゃんのことずっと好きだったんだ』

私の耳元に感じた熱と言葉に
鼓動が一気に速くなるのを感じた

『流れ星に願う』

fin