夢寐 Ⅲ (ページ16)

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手に持ったお菓子とお茶を
ローテーブルに静かに置くと

『A。んっ』

両手を広げて合図をすると
恥ずかしそうにしながら少しずつ距離を詰めて
俺に胸にピタッとくっついた彼女を
捕まえた！と背中にそっと腕を回す

『会いたかった？』

彼女を胸に抱いたまま尋ねると
微かに聞こえる“会いたかった”と言う言葉
それに答えるように“俺も”と言って回す腕に力を込めた

ベットサイドに背中を預け
俺の足の間にいるAを暫くバックハグし続けていると
“落ち着くけど光成の顔が見えない”なんて頬を膨らませて言ってきた
久々に会えたし俺は離すつもりなんてないけどね

そのまま他愛のない話を続けると
もうすぐ冬だねと言われて最近冷たくなってきた外の空気を思い出す
冬がくる言うことはAの誕生日も近づいてくると言うことで
今年は何をあげようかなと頭の中で考えてみる

メンバーにもよく誕プレはあげるし
選ぶのは好きだけど彼女となれば話は別
今まであげたラインナップとは違うものがいいし
彼女が欲しいと思うものをプレゼントしたくて

『ね、A』

「んー？なにー？」

『誕生日、何が欲しい？』

いつも通り何が欲しいか聞いてみると考え込むA
途中で首を振ってるから何個か候補でもあるのかな？

「光成と一緒にいられるなら何もいらないよ」

考えてたし“これ！”ってものを言ってくると思ったら何もいらないと言う
そんな答えがなんだか可愛いくて“Aかーわい”なんて言ったけど
どこか寂しそうな顔をしてたAの表情に俺は気づくことができなかった