夢寐 Ⅲ (ページ2)

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月曜日

『Aおはよ』

昨日もお互い連絡することもなくやってきた月曜日
いつまでも引きずるのもあれだし
ここは何事もなかったようにするのが1番と考え
いつも通りAに声をかけた

「…おはよう元木くん」

全く目も合わせずいつもなら“湧”と呼ぶところ
今日は“元木くん”なんて苗字で呼ぶ始末

『なーにA怒ってんの？』

Aの前の椅子に背面に顔を向けて座ると
話したくありませんオーラを出して立ち上がるA

「挨拶は人として返しましたけど
　もう私、元木くんとは関係ないんで
　用がないなら話しかけないでもらえます？」

そう言ってAは教室出て行った

「あーあAちゃん、めっちゃ怒ってるじゃん」

隣で俺らのやりとりを聞いていた平塚
でかい目をさらに大きくして言ってくる

『なんだよアイツ。まだ怒ってんのかよ…』

「えー湧、また女の子と遊び行ったのー？」

平塚のことだ悪気がなく言ってるのはわかるが
流石にムカついて“は？行ってねーよ！”と声を荒げると
周りの目が俺に集中する

「なんかみんな見てるねー」

気にする様子もなくヘラヘラ笑う平塚と
集まる視線に居心地が悪くて俺は教室を飛び出した

何も言わず歩く俺の後ろを追いかけてくる平塚
“湧ーサボり？じゃあ俺もー”
なんて脳天気に言ってくる

『あーもーうっせぇな。1人にしてくんね？』

平塚ははっきり言わないとわかんねぇ奴だから
わかるように言ったのに
返ってきた言葉は全然違うものだった。

「1人で考えてても埒あかないでしょー？
　俺が話聞いてあげるよー。」

俺の肩に手を回して“さ、いこー”と平塚に促され歩みを進めていった。