廿玖、『一人分の』 ページ29
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彼に対して初めて、微かだけど確かに、一瞬だけども！！……恐怖心を抱いたような気がする。
正直怖かった。暴力(？)を振るわれそうになったのも、初めてだった。そこまで苛立っていたらしい。彼の地雷は把握してたし、なんならご機嫌取りは私の得意分野だったのに。
……そこまで善逸くんの事を嫌っているのか。
夜。予想通り彼は部屋に来ることはなかった。
知ってた、知ってたよ私は。獪岳くんは一度臍を曲げると簡単には機嫌が戻らないもの。扱いが難しいからなぁ、ちょっと調子に乗り過ぎたのかもしれない。
畳まれたままの布団を見て、数秒考えた後のっそり起き上がって敷いてやる。もしかしたら戻って来るかもしれないもんね。別に寂しいから雰囲気だけでも作っておこう的な考えでは無い、決して。
「…………おやすみ、お兄ちゃん」
一人だけの部屋は、何だかいつもより広く感じた。
「やっぱ来てないかぁ……」
翌朝。寝惚け眼を擦り、隣を見たがやはり来た形跡は無かった。オールかよ兄ちゃん。ホント根性あるよねぇ。
大きな欠伸をこぼしながら窓を開けて、二人分の布団を畳む。温度の残った布団と冷たいままの布団。何処と無くぼんやりした気持ちを抱え、廊下に出る。
そしてバッタリ廊下で会うとか最早それって恋が発生するあれですよね。
黒の着物を脱いだ状態で上半身を晒したまま歩いて来た獪岳くんとエンカウントしたよどうしよう。
▼ コマンドを選択する
→挨拶しようの巻
「お、おはようお兄ちゃん」
「……、…………ああ」
な、なんだその間〜〜〜！！！！！
返すか返さないか迷ったの？考えた結果とりあえず返事だけしとくか的な結論に至ったの？返してくれたのは有り難いですが私は！「おはよう」を！！期待した！！してた！！！！
そんな事を考えていたらふと、汗と血と泥が混じったような匂いがした。
通り過ぎていった彼の背を見る。……筋肉……グッ……抑えていたけどシックスパックゥ……！！！本音を言えばもうちょっと拝みたかった、嗚呼、スケべな上半身触りたかった……！！！自分に正直に生きていこうと決めた結果がこれである。
そして、昨日はあんな感じで別れてしまったからあれだ！
「夜通しお疲れ様！！朝ご飯はお兄ちゃんの好きなの作るから待っててね！！」
言い逃げである。
去り行く背に向けてそう叫び、ダッと駆け出す。
後ろから声が聞こえたような気がするが無視した。
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続く (更新停止中)
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�桟鈬�(プロフ) - コメ失礼します！メチャクチャ好きです！！(唐突)更新頑張ってください！ (2020年11月2日 17時) (
レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
葵羽(プロフ) - 獪岳の存在が気になりはじめたのはぱんこさんのおかげです！更新楽しみにまってます！応援してます！ (2020年3月23日 17時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 初コメ失礼します！！。最&高のウィンウィンです！！(何いってんだろうか)更新再開するのを楽しみにしています！！。(*^^*)ｶﾞﾝﾊﾞﾚ! (2020年3月18日 7時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
アムネ(プロフ) - すごく面白いです。続きが気になります！更新再開するのを願ってます。 (2020年1月8日 19時) (レス) id: 9a6a9cf4a1 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - めっちゃ好きです！頑張ってください！ (2020年1月3日 15時) (レス) id: 57c609d2c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱんこ
| 作成日時：2019年10月16日 16時
