廿壱、『オンリー・ロンリー』 ページ21
.
お爺さんに連れて来られたのは、一軒の家。
すげえ、昭和って感じがする。今の時代確実に「令和」ではないと思うが、昭和辺りなのかな？
中に入る。……ああ、祖父母の家のような匂いがする。仏壇の部屋のようなそんな匂い。好きだわぁ……
「この部屋を使うと良い」
案内されたのは8畳程の部屋。まあまあ広い。
「兄妹か？」
「あ、いえ、血は繋がってないんですけど……」
「ほう」
仲が良いんじゃな、とお爺さんは笑う。えへへ、と笑う私に対し、獪岳くんは先程から何かを考えてる様子で無反応である。
一緒に使えってさ。まあ寺の生活でも雑魚寝みたいなもんだったし良いよね！
とにかく「ありがとうございます」と頭を下げる。こんな見ず知らずの子供を引き入れてくれた優しいお爺さんに感謝感激である。
「先程も助けていただきありがとうございました。あの、流石にタダ飯食いにはなりたくないので家事とかやります！何でもやります！」
「……ふむ、お前さんは聡い子だな」
おっ、褒められたぞ？(単純)
「良い子ですか？」と聞けば「ああ良い子だ」と頭を撫でられた。嬉しい。……悲鳴嶼さんの大きな手を思い出した。あの人にも撫でてもらってさ、優しかった。
………少しだけ気分が落ち込んだ。寺の事を思い出す度に悲しくなる。気落ちしているのか、自分で見捨てておいて、なんて勝手なやつ。
「……さて、じゃあ早速ご飯でも食べるか！A、手伝ってくれるか？」
「……っはい！何でもやります！」
少しだけ潤んだ目を腕で拭い、お爺さんの後を追いかける。そして、後ろを振り返る。
やはり獪岳くんは、ずっと何かを考えるように下を見ていた。
「お兄ちゃん」
そんな彼に声をかける。彼は若干吃驚した様子でこっちを見た。
「助けに来てくれて、ありがとう」
本当に、嬉しかった。
正直絶対貫通させられると思って覚悟してたから、だから、あの時君の事、本当にヒーローみたいに見えたんだ。
「君は私の、自慢のお兄ちゃんよ」
心からそう思う。
にや、と笑い、「じゃあね」と出て行く。
彼は呆けたような顔をして、私の背を見送っていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 965人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
�桟鈬�(プロフ) - コメ失礼します！メチャクチャ好きです！！(唐突)更新頑張ってください！ (2020年11月2日 17時) (
レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
葵羽(プロフ) - 獪岳の存在が気になりはじめたのはぱんこさんのおかげです！更新楽しみにまってます！応援してます！ (2020年3月23日 17時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 初コメ失礼します！！。最&高のウィンウィンです！！(何いってんだろうか)更新再開するのを楽しみにしています！！。(*^^*)ｶﾞﾝﾊﾞﾚ! (2020年3月18日 7時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
アムネ(プロフ) - すごく面白いです。続きが気になります！更新再開するのを願ってます。 (2020年1月8日 19時) (レス) id: 9a6a9cf4a1 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - めっちゃ好きです！頑張ってください！ (2020年1月3日 15時) (レス) id: 57c609d2c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱんこ
| 作成日時：2019年10月16日 16時
