拾参、『嘲り笑う』 ページ13
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追い出された身と、彼らを見捨てた女。
酷いものである。我ながら自嘲気味に笑った。多分私は天国へは行けないな。地獄へ真っ逆さまだ。
だから今、こんな有様になっているのも納得できる。
現在、私が居るのは薄暗い路地裏。背に凭れかかっている壁や床はゴミなどの汚れに塗れて腐臭を撒き散らしている。蝿がたかってぶんぶん煩い。
だがもう慣れてしまった。
長い時間嗅いでいれば、もう鼻は脳へ情報を送ることすら放棄してしまったらしい。ヤッタネ!もうやけくそだ!
お腹が空いて、ボーッとその場から動かずただひたすら待ち惚けていると、足音が聞こえた。
視線を其方へ向ける。
「こんな所にいたのか」
物凄く嫌〜な顔をした獪岳くんが見下ろしていた。
その顔をぼんやり見つめ、うふ、と笑う。
「お腹空いた」
そう言うと、彼は問答無用で手に持っていた食料を動かぬ私の口へ突っ込んだ。いや唐突。若干噎せる私にお構いなく、グイグイ機械的に突っ込んでいく獪岳くんだがおいどうした、距離感バグったの??
しかし、ロクに水も飲んでいなかった為、食料__熟れた桃は非常に有り難かった。瑞々しくて甘い。物凄く美味い。思わず頰を緩めた。
「(どっからパクって来たのとか、そういうのはスルーしよ)」
彼は微かに笑って満足そうに私の頭を撫でる。君ってば、頭撫でるの好きね。力加減間違えてるけど、ぐりぐりやられてるんだけど。
まあ昔より成長したから仕方ないか。
今の私は10歳くらい、獪岳くんは12歳くらい。思春期バリバリやんね。私はもうとっくの昔に枯れ果ててるから「めっちゃ肌潤ってんな」と感激してますかっこわらいかっことじ。ぷにぷにやんうける。
にしてもこの貧民街……所謂
身寄りの無い家もないツテもない私たちの生きる場所。此処しかないよね知ってました。今更あの寺に帰ることも出来ないし獪岳くんがめっちゃ拒否るのでそもそも不可能なのである。
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桟鈬(プロフ) - コメ失礼します!メチャクチャ好きです!!(唐突)更新頑張ってください! (2020年11月2日 17時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
葵羽(プロフ) - 獪岳の存在が気になりはじめたのはぱんこさんのおかげです!更新楽しみにまってます!応援してます! (2020年3月23日 17時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 初コメ失礼します!!。最&高のウィンウィンです!!(何いってんだろうか)更新再開するのを楽しみにしています!!。(*^^*)ガンバレ! (2020年3月18日 7時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
アムネ(プロフ) - すごく面白いです。続きが気になります!更新再開するのを願ってます。 (2020年1月8日 19時) (レス) id: 9a6a9cf4a1 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - めっちゃ好きです!頑張ってください! (2020年1月3日 15時) (レス) id: 57c609d2c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年10月16日 16時