ライラックの花束を【2】 (ページ28)

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松倉side

Aの学生最後の演奏会当日。

高校3年生ぶりにホールに足を運び辺りを見回す

小学校の時から通っていたこのホールとも

自分ももうお別れなんだなと思うと少し切なくて。

指定された席を見つけ腰を下ろす

すぐに暗転し演奏会がスタートした

途中でピアノのソロコンサートになり

Aがでてくる。

大人っぽい黒のシックなドレスに
身を包んでいて思わず息を呑んだ。

閉演後、会場を出てAを探しすぐ見つけたけれど

小さい時からいた音楽団での

最後の演奏ということもあり、

Aの周りには家族や友達、地域の人たちが

大勢集まっていて話しかけられそうにもない。

＂おつかれ。
あとで話したいことあるから、
落ち着いたら連絡ちょうだい。＂

とだけメッセージを送ってスマホを閉じ

長年、ピアノを弾いているAとの

思い出が詰まったホールを後にした