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「無理やり?なんだよ何かおかしいと思ったら。笑」

「すげぇ怖がってるもん。ごめんね、俺こんな面してるからさ。笑」


2連ピアスの人とさっきまで私を見上げていたイカつい人がふっと表情を和らげて笑った。

ただ残りの2人はただこちらを見てるだけ。睨んでるとかじゃないものの、無言で見つめられて怖いのなんの。



「先週の水曜日に体育館に忘れ物して取りに行ったの。したらAちゃんが一人で踊ってて、それ見てすごって思ったの。だからサークル入ってほしいなって思って」

「だから今朝授業の場所聞かれたのかぁ、急にLINEくるから何事かと」

「建築って言うから阿部ちゃんと同じかなーって思って!」



そんな会話にうわぁ学科言わなきゃよかった…と後悔する。
ただそれでも問題は問題、待ち伏せってことでしょ?普通にストーカーじゃないか。


「そんなにうまいんなら見たいんだけど。Aちゃん?って言ったけ。見せてよ」

「え、あ、…そんなうまくは……」

「あ!」



イカつい人から再び見つめられてたじろいでいると、その隣のずっと黙ってた人が急に声を上げた。

その声にびくぅ!と肩を震わせた私に阿部さんが笑う。



「え、何」

「Aって言ったよな?阿部ちゃん苗字は?」

「え?碧衣さん、だよね?」


阿部さんに確認をされ、思わずうなずいた。
えぇ、そうですけど…?



「どっかで聞いたことあると思ったんだよ…涼太もない?」

「うん、ライバル校だったよね」

「そう!〇〇高のダンス部だろ!いつも競ってたからよく見てた!3年の時の大会のパンフレットに載ってた名前だ!部長?リーダー?」

「あ、はい……一応……」




ってことはこの2人は△△高か…?
確かに私たちの地区のコンテストではうちと2強だった。

部長と言ってもパンフレットに載せる情報でどうしてもそれが肩書として必要で。全く引っ張ったりはしてないし、同級生で行ったじゃんけんで負けたのだ。リーダーみたいな人は別にいたし。



「じゃあ相当うまいよ、レベル高かったもん」

「まじで?ますます見たい。軽く踊ってよ」



勝手にハードル上がってる…
何だか少し悔しそうな彼にやめてくれ…言うて2年前の事だぞ…と心の中で訴えかける。



「ね!踊ってよ!昨日の!」

「い、いや、あの……ちょっとバイト行かなきゃなんで…失礼します!!」



怖くてたまらなくなった私はいつの間にか手首を離されていた事に気付き、逃げるようにその場を去った。

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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年5月20日 2時

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