陰キャとさくまの水曜日 (ページ48)

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「でさー、サークル入る気になった？」

「え…」

その後、解散の瞬間に私をまた捕まえた佐久間くんと一緒に今度はフランクフルトを食べていた。相変わらず佐久間くんのおごりで、デートの続き！とか言って残り少なくなった出店のご飯を物色することに。

殆どなかったんだけどね、このフランクフルトもラスト2本。

「俺らのことかっこいいって思ってくれたんでしょー？サークル入ればもっと見れるよ？それにあんなに踊ってるの見たらさすがに踊りたくなったんじゃない？」

確かに踊りたくはなったけど。
でも入りたくないまた違った理由が出来てしまった。あんなの見せられたら……ねぇ。

「……いやだ」

「え、まじで？」

「だって…あんなレベル高いダンスついていけないよ。佐久間くん、一緒に踊ろとか言うけど無理。私あんな踊れない、あとやっぱ陰キャにはあの雰囲気はしんどい」

正直な気持ちだった。ちょこちょこ踊ってるとはいえブランクだってあるし、あの盛り上がりに逃げたくなったのは本当だ。

「…まじかぁ、踊ってんの見せたらいけると思ったのにー逆効果かよぉ」

わんこが怒られてしゅんとしてるみたいに項垂れた佐久間くん。

「Aちゃんと仲良くなるにはどーしたらいい？」

「仲良くなるって何さ」

「だってさぁ、俺らってダンスでしか仲良くなれる要素ないもん。学科も違うしダンスがなくなっちゃったら俺らの繋がりなにも無くなっちゃう」

「てか、サークル入れるために仲良くなろうとしてるんでしょ？」

「最初はそうだったけどさぁ…」

何故かしゅんとしてたのが徐々にむくれてきて、今度は拗ねてるみたいだった。この人前世わんこかな…ポメラニアンっぽい

「あーもう、俺分かんないよ～」

「…どうしたの」

「あー、うん。いや、そうだよな」

ベンチの背もたれに体を預けて目を隠すように手の甲を乗せている。その手先はピンク色。この人肌しっろいよなぁと、着たまんまのパーカーと同じ色だなぁなんて。

そのまま顔を少しこちらに向けて、手の隙間から私を見た。

「！……え、あ、なに……」

その流し目のような目線が刺さり、踊っている時のあの妖艶な表情を思い出してしまった。体がドクンと波打って、思わずたじろいでしまう。

「俺一応男なんだけどなぁ…」

佐久間くんが何かを言った気がするけれど聞こえなかった。あの佐久間くん本当になんだったんだ、わんこなんかじゃない佐久間くんは慣れてない。