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「よかった、ちゃんと来てた」
「あ、ちょ!ちゃんと11時に行ったら阿部くんいないし!佐久間くんいるし!なんか色んなところ連れまわされたし!」
中庭の特設ステージに足を踏み入れた私はお客さんが集まっている中でとりあえず隅でぼーっとしていた。そしたらいつの間にか現れたこの人、緑のダボめなパーカを着ている。
「でも楽しかったでしょ?」
「…まぁ」
「ふふ、佐久間もるんるんだったよ。楽しかったーって満足げ」
「なんで嘘ついたのさ」
「嘘はついてないよ。お供するとは言ったけど俺が、とは言ってないからねぇ」
まーたこのムカつく余裕そうな顔をしたこの人。
何がしたいんだろうとため息をつく。
「まぁ、今度は佐久間だけじゃなくて俺らの事も見てってよ。初めてでしょ、俺ら踊ってんの見るの」
「…想像つかない」
「ふふ、お楽しみにー」
手をひらひらと振りながらステージの方に歩いて行った。その方向を見るとあのメンバーさんたちが集まって談笑している。その中にはもちろん佐久間くんもいて、ピンク色のパーカーを着ていた。
衣装か?6人が多分色違いのパーカーを着ている。阿部くんはあの通り緑で、その他は赤、青、黄色、紫。ポップだなぁ、随分可愛い衣装チョイスだなと。
ショーケースが始まってサークルのメンバーであろう人達やそのお友達だったりが無駄に茶化したり声を上げたりするからすんごい騒がしい。やっぱ大学のダンスサークルってこんな感じだよなって思ってこの場から立ち去りたくなる。
でも多分帰ったら後でで阿部くんに何されるか分からないのでとりあえずステージの上のダンスに集中する。あーなんでよりによってトリなんだろう。
一生懸命に踊る初心者さんなんだろうなって人からそれなりにうまい人まで。レベルはサークルだからまちまちだけど、ただ楽しそうに踊ってる姿を見ていいなと思ってしまう自分がいた。
1人じゃなくてこうやってチームでまた踊りたいなって思ったりもするけれど。高校までとは違うその自由さやノリが加わるだけで、気が引けちゃうんだよな。
どれだけ経っただろうか。
人が踊ってるのを見てるとやっぱり踊りたくなってしまう。それが逆にしんどくて、早く終わってくれとすら思っていた。
やっと6人のカラフルなパーカーがステージにあが。
はぁ、やっとだ…と安堵したけれど
私はそのダンスを見て
息をするのを忘れるほどに圧倒されてしまうのである。
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年5月20日 2時