陰キャとさくまの水曜日 (ページ40)

今日:44 hit、昨日:27 hit、合計:503,210 hit

・ページ40

・

ピーンポーン

「ほら、呼ばれてるぞ」

ニヤニヤしながら目黒くんが私に視線を送る。あの人たち騒ぎそうだなぁ怖いなぁと思いながら渋々テーブルに向かおうとすると、他のお客さんにお酒を届けてきたのか康二くんがお盆を持ったまま話しかけてきた。

「あ、Aちゃん。さっき店長呼んでたで」

「え？店長？あー、来月のシフトまだ出してないからかなぁ」

「注文やろ？俺行くからルーム行ってき」

お、ラッキーと思って康二くんに注文を託した。ただルームに行っても店長の姿がなくてあれーおかしいなと思いながら店に戻る。まぁ後でいっか。

「はーい、おまちくださーい。あれ、もう戻ってきたん？」

「店長いなくて」

「そうか、さっきまでいたんやけどな」

注文を聞き終えたらしい康二くんの手元をチラッとみるとカシオレとかピーチウーロンとか可愛いお酒の文字が並んでいる。あの人たち意外と弱いのか…？いやまぁ佐久間くんと阿部くんはそんなに強くなさそうだけど。

その後もそのテーブルの注文は康二くんが取ってくれて。私は少ないながらもぽつぽつといるお客さんの接客をしたり、いうた暇だから無駄に掃除したり、雑談したり。特に変わりなく働いた。

「ねぇ、全然俺らんとこ来てくれないじゃん。佐久間寂しがってるよ？笑」

「あ…お手洗いはあちらでーす」

「今行ってきましたー」

テーブルを拭いて通路に戻るといかにも待ち伏せしてますな阿部くんがいて。

「お酒強いんだね、全然酔ってなさそう」

「いや？てかあんまり好んで飲まないからね。ちょっとしか飲んでない」

「ふーん、じゃあなんでまたここに」

「居酒屋飯って美味しいじゃん。俺だけじゃなくて割とみんな飲まないし、佐久間なんか激よわだからね。1杯で顔赤くなる」

「うわぁ、イメージ通り。あんま飲ませないんだよ」

ほら弱いんじゃん。
でも他の人もそんななのは意外だった。確かに、あの人たちが来てそれなりに経ってるけど全然騒がしくない。もっとウェイ系だと思ってた。

その後休憩に入った私が戻るともう帰っていたようで。意外とあっさりとお開きなんだなって軽く驚いた。

「あ、あの人たちがこれ置いてったよ」

目黒くんに渡された紙にはまた来るねーとか、美味しかったよーとのメッセージが。ご丁寧に6人分。

「いい人達じゃん、俺にも感じよかったし」

あの人たち、一体何なんだ。