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「おはようございますぅー。あ、19時入りなん?」

「うん、おはよ」



バイト先の居酒屋で準備をしていると同じ大学の同級生である康二くんが入ってきた。

人見知りだけど2年目ともなるとさすがに仲良くならざるを得ない。わざわざ関西からこちらに進学してきたという康二くんはその明るい関西弁でよろしくなぁ!って初めて会った時もフレンドリーだった。



「何時まで?」

「閉めまで」

「おー、最近よくかぶるなぁ。建築落ち着いてるん?」

「まぁね、写真は?」

「俺は年中落ち着いてるからなぁ、稼いどるで」



私達が通っている大学は学部が一つしかない。しかし学科に分かれていて彼が通う写真学科やザ・芸大って感じの絵を描く系の学科などが連なる小さな芸術大学だ。

その中でも私が入った建築学科は忙しいで有名、らしい。私は忙しいというよりも一つ一つの課題が大きいからその期間が少し長いという認識なのだけど。確かに大変ではある、でも他学科だって大変なことは大変だろう。



「んなことないでしょ。この間の写真の展示見に行ったけど、すごかったよ」

「せやろー?俺教授に褒められてん」

「えー、凄いじゃん」

「今度Aちゃん撮ったろか」

「スタイル抜群なモデルがそこにいるじゃない」



2人で前掛けエプロンを締めてお店に入ると今日もお客さんたちにちやほやされてる高身長イケメンが目に入る。学生バイトの子たちのみならずOLであろうお姉さんたちをも虜にする大学生、目黒蓮だ。



「相変わらずモテモテやなぁ」

「ね。LINEのID書いた紙何回見たか」

「俺はめめのLINE持ってるけどな」

「誰にマウント取ってるの。はい仕事仕事」



わざとらしくキメ顔をした康二くんを追い越してタイムカードを切った。深夜までのバイトももう慣れっこ、むしろ深夜給の大きさはデカいので入れるときは積極的に入れている。

厨房にいた店長に挨拶をすると早速お酒を渡され2番との指令が。私が良く入るからって段々扱い雑になってないかと軽く並んでみたのだけどそんなのは視界に入れず。

たまにしか入らないぶりっこの女の子にはデレデレしてるくせに、給料あげろやこの野郎。



「あい、べっぴんさん2名様入りますぅ」



康二くんの陽気な声が聞こえる。
目黒くんのこと凄いなとか言ってるけど、こうやって関西のおしゃべり術でOLさんたちを喜ばせてるこの人もこの人だ。実は目黒くんと人気を二分しているのは彼なのだ。

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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年5月20日 2時

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