陰キャとさくまの水曜日 (ページ3)

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この大学にダンスサークルがあるのは知っているし、実は入学する時に見学も行っている。

ただ一人暮らしを始めてバイトが必須になることと、大学のダンスサークルっていわゆる陽キャ的なうぇい系が多いイメージで怖くて入らなかった。

自分は筋金入りの隠キャだ。
そんな集団の中に入るなんて恐ろしかったし、ダンスサークルとは名前だけでただの飲みサーな可能性だってある。

酒飲みに絡まれるのはバイトだけにしてほしい。

忙しいと言ってるのに急に強引に話を進めてきた彼。
何だかほんっとに空気の読めない人だと私の眉間のシワは増えるばかりだ。

「ね？入ろ？火曜日と木曜日でやってるよ」

「いやだから忙しいんで……」

忙しいと言ってるのに急に強引に話を進めてきた彼。
何だかほんっとに空気の読めない人だと私の眉間のシワは増えるばかり。

「えー、だって俺……あ、名前聞いてなかった。名前は？」

そんな人に名前を教えるのはなんだか怖かったけど、それを渋ったらまためんどくさいことになりそうだと思った私は静かに呟く。

「……碧衣A」

「建築2年Aちゃん！覚えた！よし！サークル入ろ？」

嫌だってば！

「いやだから…」

「俺Aちゃんと踊りたいの！」

思わず大きい声を出そうとした時、それを遮るように彼が言った。

こんな会って2回目の知らない人と一緒に踊りたい？
もしかして新手のナンパ？こんな陰キャに？

本当に訳がわからなくて1人で頭を回す。
真意はわからないけれどやっぱりダンスサークルって誰にでもグイグイくる陽キャ集団なんだ…と怖気付いた私は

「陽キャ怖い……」

「え？」

「すみませんバイトあるんで…！」

逃げよう。

そう判断して体育館を出た。