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3番ご注文!

5番にこれ持ってって!

誰かお会計!

厨房ヘルプ!



慌ただしい金曜日の居酒屋。バイトの人数もお客さんの人数も水曜とは比べ物にならない。雑談なんかする暇もなく、インカムを付けている耳に店長の声とそれに返事するバイト達の声が飛び交っている。

お店もお客さんのバカ騒ぎでガヤガヤ。
うるさいなぁ、注文聞こえないって。



「失礼します、お待たせしましたー」


沢山のお酒とおつまみを運びに行く。中々もう出来上がってる人たち。むわっと鼻にくるお酒臭に顔が歪みそうになるけど一応接客業なので笑顔は崩さず、でも感情を無にしてテーブルにお酒を置いていく。



「ご注文の品お揃いですかー」

「あ、注文してもいい?」

「はーいどうぞー」

「お姉さん可愛いね。いくつ?」

「あはー、大学生ですー」


また定員に絡む酔っ払い。
忙しいんですよこっちは、さっさと注文してください。ニヤニヤしてんじゃないよ。

もちろん言葉には出さないけど笑顔の裏には常にこんな思いだ。


「俺らも大学生なのよ!バイトってことね?何時まで?俺らと2次会でもどう?」


うわーナンパしてるー!うけるー!って、周りもゲラゲラ笑ってやがる。煽るなよ、こっちは仕事中だっての。今すぐにでもふざけんなって出ていきたいけど一応お客様。作り笑顔を絶やせない。



「あはは、今日は遅いんでー。ご注文お伺いしますよー」

「えー?じゃあLINEのID書いとくから終わったら連絡して?明日休みでしょ、朝までいっちゃおうよ〜」



この客しつこい!誰があんたらみたいなチャラ集団と!注文する気あります!?ほら、インカムが鳴りやまない。あんたらだけに構ってる暇ないんだって!

笑顔が崩れそうだ。少しだけため息をついた。



「あー1年なんですよーまだ19なんで」

「そんなのバレないって」


年を誤魔化すのも1つの手だ。逆にサラリーマンとかおじさんたちだったりするとじゃあ仕方ないか〜って引いてくれたりするんだけど。

ていうかこの店も年確実施してますけど?バレるわ。



「あおいちゃんっていうんだ。彼氏いる?俺あおいちゃん気になるな〜」



ひらがなで表記されている名札。漢字じゃないと下の名前っぽくてバイトの子たちからもそう呼ばれていたりする。本当の名前じゃなくてよかった、こういう客に気安く呼ばれたくないもん。



「あはー、どうでしょうねぇ」



作り笑いが引きつる。ここまでしつこいのも久々だ。

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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年5月20日 2時

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