陰キャとさくまの水曜日 (ページ2)

今日:36 hit、昨日:27 hit、合計:503,202 hit

・ページ2

・

「ねぇ、何年生？学科は？」

「えっ」

水曜日、今日もまた誰もいない体育館で。
懐かしいなって気分よく踊ってたのに先週のデジャヴを感じて思わず顔が強張った。

振り向くとまたあの人。

「俺メディアの2年」

「……ストーカー？」

「してないよ！先週水曜日にいたからもしかしてと思って！」

誰だっけ…？名前を言っていたことは覚えているものの肝心のそれが出てこない。そんな彼は誤解誤解！ってちょっと慌てているけど私の強張った顔が解けるはずがない。

「ごめんなさい、私あなたと顔見知りではないんですけど…」

「だから聞いてるんじゃん！何年生？」

でも引くことはないらしい。

「…2年」

「あ、え！同い年？何となく下だと思ってた…」

2週連続で現れて、ストーカーかと思えば学年聞いてきて。下だと思った？失礼じゃないの、なんなのこの人。

「あ、学科は？」

「建築ですけど…」

「ほぇー、阿部ちゃんと同じ！数学得意なタイプだ」

誰だよ阿部ちゃんって、そして

「……あの、誰」

あんたも。

「え？先週言わなかったっけ、佐久間大介でーす」

全くもって空気を読まずにニコって笑ったその人は自己紹介と共にピースをする。

やばい人に絡まれてしまった。

「で…何」

「ダンスやってるの？」

「高校までやってただけです」

「サークル入ってないんだよね、何で？」

「何で、って……」

彼は不思議そうな顔をして問いかけた。
ふざけてるの？と思ったけど至って真面目な顔だからなぜそんなことを問うのかますます分からなくて。

「先週も今も踊ってたじゃん。踊りたいなら入ればいいのに」

「いや…忙しいから」

「えー、建築の人いるよー？」

首を傾げる彼についにため息が出てしまった。
サークルに入ろうが何だろうが人の勝手でしょうが。