陰キャとさくまの水曜日 (ページ1)

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ダンっ

私がステップを踏んで着地した音が響いた。

足元にはお気に入りのスニーカー。
それなりに使ってるはずだけど履くのは室内だけだからまだまだ綺麗。

高校だと休み時間や放課後なんてバスケ部やらバレー部やらが忙しなくボールを扱う音がたくさん聞こえてるのが普通だと思うけど。

大学の、しかも授業が終わってそれなりに経ったこの時間の体育館はしんと静まりかえっている。

週の真ん中水曜日。

他の曜日はサークル活動が行われているらしいけど真ん中はみんな疲れちゃうのかな。入り口に貼ってある予定表はぽっかり空白になっている。

キュ、キュ

ターンをすれば床が擦れる音が聞こえて。

正面を向いた自分が写る鏡越しに
反対側にある時計が目に入る。

「……あ、やば。バイト」

自分のスマホから流れる音楽を止める。

スニーカーを脱いで入れ物に仕舞う。それをまたリュックに入れて、背負って入口の方へと身体を向けた。

「ねぇ何年生？学科は？」

「え？」

明るくてふわふわした髪の人。
それが出会いだった。

「……えと、誰…ですか」

「俺？佐久間大介。見たことない？ダンスサークルでしょ？」

「いや、違いますけど……」

「あ、まじぃ？見たことないなぁって思ってたけど…」

急に話しかけてきた人。
とぼけた顔したと思ったら1人で納得してる。

持っていた携帯に何らかの通知が入り
画面がついた携帯に表示される時間が目に入る。

「あ、やば…遅刻する…人違いかなんかですよね？すみません、ちょっと急いでるので」

一応軽く会釈をして小走りで外に出た。

授業、課題、バイト。
それなりに大学生してる。

友達が多い方ではないから本当にたまーにだけど、それなりに誰かと遊んだりもする。でも最近全然だなぁ。

今日も相変わらずバイト、今月給料期待できるかも。
賄い何かなぁ。おなかすいた。