初めてのお友達 ページ8
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ガタンゴトン。
段々と少なくなっていく乗客。オレンジ色の夕日が差し込む車輌。流れる景色をぼーっと眺めながら私は電車に揺られていた。
支社での勤務1日目。
今日は皆さんへのご挨拶をしてから上司の人に社内を案内され。共有事項やちょっとした仕事内容の引き継ぎくらいで定時よりもだいぶ早く上がらせてもらった。
優しい人が多くて、引っ越しやらで疲れてるだろうし落ち着いてないでしょうって。少し田舎に近づいただけなのにこんなにも職場の雰囲気って変わるんだなぁと。
本社も別に悪くは無かったけど、穏やかさが違う。
いくら通えるとはいえ地元から会社がある街の方までは乗り換えもあるし片道1時間以上は電車に乗ることになる。しかも地元に通ってる電車の本数は多いわけでもない。観光客が来るからこれでも増えた方なんだけど。
まぁ、慣れだ慣れ。寝てればいいし。
「あ…まだやってるかな」
最寄駅に着いて電車を降りる。携帯を見て時間を確認するとあのカフェの営業時間の終了までにはまだ少しだけ余裕があった。
一杯コーヒーでも飲んで帰ろうか。
私は月曜に行ったあのカフェへと足を運んだ。
「いらっしゃいませ!……あ!」
ギリギリかなと思ったけどちゃんとプレートは【Open】になっていた。扉を開けるとカウンターから出迎えてくれたのはまたあの緑のエプロンのお兄さん。
「え?」
「一昨日も来てくれましたよね!」
私を見るなり声を上げるから何だろうと。そしたらそのお兄さんはぱあっと顔を明るくしてこちらに駆け寄ってきた。
「もしかしてなんですけど、これ書いてくれたのって……」
そうして入り口横のノートを手に取る。ページを開いて指差した場所は一昨日に私が残したメッセージだった。
「あ、私です…」
「うわぁ!嬉しい!また来ますって書いていただけたのは初めてなんですよ!ありがたいことなんですけど観光で来る方がほとんどなのでリピートで来る方って中々いなくて」
「あー……そうなんですか」
「あ。ごめんなさい、つい……。ご案内しますね、カウンターでいいですか?今日外寒いですよね」
テンション高めに喜びを伝えてくれた店員さんはハッとして恥ずかしそうに笑った。そしてこの前のベランダ席ではなくカウンターに案内される。
閉店まであと30分ほどだからだろうか。
店内には他のお客さんはおらず、私の貸切状態だった。
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ぽぷら(プロフ) - お風呂場の狸さん» いつもコメントありがとうございます!また泣かせちゃった…(笑)お楽しみいただけたようで嬉しいです。寒くなってきてお仕事だとか、朝起きるのも億劫な季節ですよね。お互いに頑張りましょうね( ; ; )こちらこそありがとうございます! (2021年12月19日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
お風呂場の狸(プロフ) - めちゃめちゃ泣きながら読んでいま全てを踏まえて読み返してます……ほんとに天才です最高です……今日も6時半起きで仕事なのに一気読みしちゃいました……!今週一週間も頑張れそう(;-;)とても面白かったです!ありがとうごさいます!!! (2021年12月13日 2時) (レス) @page17 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - aggyさん» お読みいただきありがとうございます!どうなるんですかねにやにや(笑)駆け足になりますが彼らを見届けてくださいね!コメントありがとうございます(^^) (2021年11月29日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - コメント失礼致します!いつもお話拝見させて頂いてます。今回のお話、読んでてニヤニヤしちゃいます笑笑今後の展開楽しみにしてます! (2021年11月27日 20時) (レス) @page50 id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月26日 11時