君の日記と冬の海

今度はこっちが先客 ページ42

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今日は亮平くんとご飯に行った



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「……あぁぁぁ」


その一行を書いただけで私は机に項垂れる。恋なんていつぶりだろうか。社会人になってからは仕事で恋どころでは無かったし、大学生の時もこれといった思い出はない。最後に彼氏できたのいつだっけ……


やっかいなのが、相手が亮平くんということ。

普通ならご飯に誘われたらもうそのタイミングで好意を持たれるかもしれないと大体の女性は察するだろう。でも彼は何もかもが自然で、わざとらしくなくて、ずるいのだ。

思えば、私が初めてカフェに行った時もすごく優しくしてくれて。2回目にはもう仲良くなりたいなんてストレートに言われている。

そんな彼だ。分からない、逆に分からないんだ。




佐久間大介私じゃなくそいつを取ったのねっ!


「……やめてよ佐久間」


何も知らないであろう同期のLINEに思わず突っ込んだ。この前の会話の流れでふざけているのはわかってるけど、なんか今の私の状況にそれは生々しい。

いや生々しいも変か。



潮田Aなに

佐久間大介つめた。来週は流石に俺が先客だろ?約束な!



「……亮平くんの誕生日」


はぁ、とため息をつく。せっかく宮舘さんに誘ってもらったんだから行きたいけどこればっかりは仕方がない。

佐久間にごめんって言えばいいのかもしれないけど、先客って今日断ってるのもあってなかなか言いづらいし申し訳なかった。


潮田Aいいよ。でもちゃんと帰るからね?

佐久間大介それ掘り返されるとごめんとしか言えない

潮田A冗談だよ。気持ち多く出してね?

佐久間大介気持ちな



佐久間が悪いわけじゃ無い。
行きたく無いわけでも無い。

ただ少し残念に思ってしまう自分がいて、そんな自分にまた恥ずかしくなって。


一行しか書いていないページをまた視界に入れて、ペンを持つけど次に何を書けばいいのか全く思いつかない。



"楽しかったです。明日はゴロゴロしよう。"



誰に見られるわけでも無いこの日記。1日を思い返しながら書く時間が好きで、ただの自己満足でしかない。

だからなんだっていいし最悪書かなくてもいいくらい。なのにこんな当たり障りのないこと書いて…って自分で苦笑いしてるのは自分で自分を恥ずかしく思ってしまう気持ちがあるからか。



何か全てが恥ずかしい。

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