ここでしかできない ページ5
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「ありがとうございました!」
また優しい爽やかな笑顔でお会計をしてくれたお兄さんは会釈をしてパタパタと注文を取りに行った。平日だけど気づけば8割は席が埋まっていて、見た感じ本当にこのお兄さんと奥の方で料理を作っているであろうお兄さんしか店員さんはいないので大変そうだなぁとその背中を見送った。
お店を出ようとすると入り口付近には一冊のノートが。
“ぜひご意見・ご感想お聞かせください”
そのノートをめくるとお客さんからのメッセージが書かれていた。“美味しかったです”“おしゃれで可愛い!”“綺麗な景色とコーヒーが最高でした”などなど。
私はそのノートに“素敵な時間を過ごせました。また来ます。”と書き残し、そして頭の中に浮かんだ懐かしい記憶と共にお店を出た。
また始めてみようかな。毎日の日記。
私はその足で昔よく通っていた文房具屋さんに向かった。無くなったりしてないかなって思ったけど、昨日そこを通った時にちゃんと残っていたそのお店を見て嬉しくなった。
とはいえ、小学生だった当時とは違ってデジタル化が進む現代。そして社会人になってしまった私がわざわざ買うものなんてないなぁと少しの寂しさも覚えたんだけど。思ったよりすぐにそこに行く用事ができちゃった。
お店に入ると当時と何一つ変わっていない空間が広がっていた。新品のインクのにおいがして、ずらっと並ぶ沢山の文房具。
私は少し奥の棚に向かって、ノートが沢山並べられている場所に。
「あー、こんなんだったな」
その中から表紙に何も書かれていないシンプルな一冊のノートを手に取った。同じものかは分からないけど、確かこんなのだった気がする。キャラものや可愛らしいノートが流行ってたけど、私は何故かこのシンプルなノートを好んで使っていた。
「すみませーん」
レジに向かって声をかけるとゆっくりと出てきたおばあさん。あぁ、そうだ。この人だった。この辺の小学生ならだれもが知ってた文房具屋のおばさん。当時と比べて少し小さくなった気がするのは私の背が伸びたからかな、それともこのおばあさんの腰が曲がったからかな。
「あら珍しいねぇ、お姉さんがこんなところに来るなんて」
「小学生の頃にここに住んでたんです。数日前に引っ越して戻ってきました。ここにもよく通ってたんですよ」
「そう、何だか嬉しいねぇ」
物腰柔らかに笑うおばあさんも、あの頃と同じで嬉しくなった。
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ぽぷら(プロフ) - お風呂場の狸さん» いつもコメントありがとうございます!また泣かせちゃった…(笑)お楽しみいただけたようで嬉しいです。寒くなってきてお仕事だとか、朝起きるのも億劫な季節ですよね。お互いに頑張りましょうね( ; ; )こちらこそありがとうございます! (2021年12月19日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
お風呂場の狸(プロフ) - めちゃめちゃ泣きながら読んでいま全てを踏まえて読み返してます……ほんとに天才です最高です……今日も6時半起きで仕事なのに一気読みしちゃいました……!今週一週間も頑張れそう(;-;)とても面白かったです!ありがとうごさいます!!! (2021年12月13日 2時) (レス) @page17 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - aggyさん» お読みいただきありがとうございます!どうなるんですかねにやにや(笑)駆け足になりますが彼らを見届けてくださいね!コメントありがとうございます(^^) (2021年11月29日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - コメント失礼致します!いつもお話拝見させて頂いてます。今回のお話、読んでてニヤニヤしちゃいます笑笑今後の展開楽しみにしてます! (2021年11月27日 20時) (レス) @page50 id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月26日 11時