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下ろして軽く巻いていた髪の毛。紳士的に笑ってそう言った宮舘さんの言葉でそうなんだと妙に納得してしまう。
トイレを借りてその髪の毛をハーフアップにしてみる。ヘアアレンジなんてそんな得意なわけでもないけど元々巻いてたおかげかなんかそれっぽくなった。
凄いな、宮舘さん。
「あ、Aちゃん!ごめんね、お待たせ」
トイレから出てくると亮平くんがちょうど裏から出てきた所だった。いつのまにか宮舘さんはいなくなっていた。確認してもらおうとしたんだけど。
「お疲れ様。お店はもういいの?」
「うん、あとは本当に戸締りだけ。閉めちゃうから外で待っててもらってもいい?」
エプロンを取りながらベランダや窓の鍵を閉めていく亮平くん。言われた通り外で待っていると程なくして現れた彼はロングの薄手のコートを着ていた。
「行こ?最近また寒くなってきたよねぇ」
そっか、もう秋じゃなくて冬が訪れようとしている。亮平くんの姿を見て急に冬を実感した気がした。
「ね、もうコートの時期か」
「今日朝寒くてさー、ついに出しちゃった」
「そっかぁ」
「あ、寝てたな?笑」
「だって休みだもん。笑」
「ふふ、毎日お仕事お疲れ様だね」
そんな寒かったっけ?って思ったのがバレたらしい。今日は昼まで寝てた。そりゃ朝の気温は分からない。
「あ、そーだ。どこ行きたいか決めてた?」
「2つで迷ってる。」
あのパンフレットの中からどこ行きたいか決めてて?と言われていた。最終的には今日の気分で決めようと思ってたけどまだ2つで迷ってたのだ。
「どこ?」
「えっと、こことここ」
亮平くんにもらったパンフレットの写真を携帯で出す。携帯を覗いた彼に私の肩が触れた時、ものすごく距離が近いことに気づいた私は思わず少し動揺してしまった。
あれ、これ。
「あー、どっちも美味しいよ。お肉とか魚が食べたかったらこっちで、パスタとかのイタリアンだったらこっちかな。あとこっちはデザートも美味しい」
「……そっか、じゃあイタリアンかな」
「うん、おっけい」
本当に少しだけチラッと彼の方を見てみた。
運がいいのか悪いのか、その瞬間に彼も私の方に目線を向けたのだ。
「ん?」
「え、あ……今日はセットしてるんだなぁって…」
「あは、何かねーさっきだてさんにいじられたんだよねー。こっちは事務仕事してるのにさ?どこかからワックス持ってきて」
誤魔化し方は合ってただろうか。
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ぽぷら(プロフ) - お風呂場の狸さん» いつもコメントありがとうございます!また泣かせちゃった…(笑)お楽しみいただけたようで嬉しいです。寒くなってきてお仕事だとか、朝起きるのも億劫な季節ですよね。お互いに頑張りましょうね( ; ; )こちらこそありがとうございます! (2021年12月19日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
お風呂場の狸(プロフ) - めちゃめちゃ泣きながら読んでいま全てを踏まえて読み返してます……ほんとに天才です最高です……今日も6時半起きで仕事なのに一気読みしちゃいました……!今週一週間も頑張れそう(;-;)とても面白かったです!ありがとうごさいます!!! (2021年12月13日 2時) (レス) @page17 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - aggyさん» お読みいただきありがとうございます!どうなるんですかねにやにや(笑)駆け足になりますが彼らを見届けてくださいね!コメントありがとうございます(^^) (2021年11月29日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - コメント失礼致します!いつもお話拝見させて頂いてます。今回のお話、読んでてニヤニヤしちゃいます笑笑今後の展開楽しみにしてます! (2021年11月27日 20時) (レス) @page50 id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月26日 11時