君の日記と冬の海

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久々に聞いた部長の声に相変わらず眠そうだなぁなんて思ってたら、ガチャという音が聞こえてすぐにあの元気な声


『Aー？折り返しあんがと』

「お疲れ、どしたの」

『聞いたっしょ？ふっかが営業の担当になったってやつ』

「うん」

『その事なんだけど』


やっぱり元々私が請け負っていた案件が目黒くんの担当になり、しかもふっかも急に任せられたもんだから上手く回ってないらしい。引き継ぎ自体はちゃんとできてたんだけどそこからが問題だったらしく。そこで正式に佐久間もその案件のメンバーに加わることになったんだとか。それで確認したいことがあったらしい。


『あー、なるほどね。それで予算増やす申請をしたと』

「うん、それは経理部にちゃんと確認取ってるから大丈夫なはずだけど」

『つーかAこれ1人でやってたの？』

「んー、ランダムで後輩達に手伝ってもらってたことはあったけど中心に進めてたのは私」

『すげー』

「いやでも佐久間だってこの間まで凄かったじゃん」

『まぁね。じゃー助かったわ、ごめんね仕事中』

「ううん、そっちもでしょ」

『あ、そうだ。飯いかね？』

「また？てかそういう話はLINEでして。笑」

『んじゃ連絡するわー』


呑気な声でじゃーねーなんて言いながら彼は電話を切る。ふぅ、と一息ついてこっちでの仕事に頭を切り替えようとすると置いていた携帯が震えた。


佐久間大介土曜飲もー


「はや」


連絡がずいぶん早いこと。

いいよ、と打とうとしてハッとした。土曜なんてさっき亮平くんと約束したばかりじゃん。


潮田Aごめん、土曜は予定ある。来週でいい?

佐久間大介佐久間さん寂しい


「子供じゃないんだから……笑」


しかも仕事中でしょうに。佐久間ってそんな飲み会好きなタイプでもないと思ってたんだけど。


佐久間大介予定って?

潮田A先客

佐久間大介その人と佐久間どっちが大事なの!

潮田A彼女か

佐久間大介せめて彼氏


何なんだ。こいつ。





『潮田さーん、ちょっといい？』

「あ、はーい！」



何て返そうか迷ってた時に上司から呼ばれる。私はとりあえず「また連絡する！」とだけ送って携帯をしまった。

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