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「どっち……」
「僕はセットした方が好きなんだけどね」
「大変なんだよー俺そんな器用でもないし」
「いや…どっちも素敵だと思います、よ?」
「もう、Aちゃんの事いじめないでよ」
「そんな、人聞き悪い」
宮舘さんはそんなことを言いながらキッチンに向かって行った。何だか大人の余裕?どこか気品のある雰囲気とからかうような言動が合わさってやっぱり独特だ。
「何年か前に一回だてが銀髪にしたの。俺それが凄い好きでさーもっかいやってって言ってるのにあっちこそずっと黒だし。だったら俺だって何したっていいじゃんか」
だったら?
何か微妙にかみ合ってないような理由を言いながら彼は拗ねたように口をとがらせる。思わず少し笑ってしまうとそれを見た彼は頬杖をついて目線を私に。
「俺ハーフアップ好きなんだよね」
「ハーフアップ…?あ、」
「Aちゃん似合うね。」
佐久間の家にアイロンなんてものがあるわけもなく、いやあるのかもしれないけど。だから寝ぐせだったりをどうすることもできずに誤魔化すようにハーフアップをしていた。普段はあまり髪の毛を結んだりはしないんだけど。
「そう…?」
「うん、俺好き」
サラサラな前髪からのぞかせる目線。何だか引き込まれてしまうような雰囲気を纏って。ストレートな“好き”の言葉に内心驚きつつ何故か心臓が高鳴ってしまった。別にそういう意味じゃないのに。
「はい、試食お願い」
「え…わ!なにこれいつの間に!」
「寒くなってきたからさ。あったかい方がいいかと思って」
彼の目線に耐えられなくなって目をそらした時に私と亮平くんの間に置かれたお皿。そこにはこんがり焼き目がついたパン。
「あ、新メニュー考えてるってこれ?ホットサンド?」
「そう、阿部があのソースのサンドイッチ美味しいって言うから作ってみたよ。朝ごはんも兼ねてどうぞ。Aさんも」
三角に切られたホットサンド。中からチーズがとろけている。昨日頂いたサンドイッチを思い出して、絶対美味しいじゃんと急にお腹が空いてきた。
「うわー!絶対美味しいじゃん!いただきます!」
目をキラキラさせている彼にさっきまでの落ち着いた雰囲気とは違ったものを感じる。可愛く拗ねたかと思えばちょっと大人になって、今じゃ両手でホットサンドを持ってうま〜!って。
自分の脳内での言葉と彼が発した言葉が重なったとき、何だか不思議な気持ちになった。
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ぽぷら(プロフ) - お風呂場の狸さん» いつもコメントありがとうございます!また泣かせちゃった…(笑)お楽しみいただけたようで嬉しいです。寒くなってきてお仕事だとか、朝起きるのも億劫な季節ですよね。お互いに頑張りましょうね( ; ; )こちらこそありがとうございます! (2021年12月19日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
お風呂場の狸(プロフ) - めちゃめちゃ泣きながら読んでいま全てを踏まえて読み返してます……ほんとに天才です最高です……今日も6時半起きで仕事なのに一気読みしちゃいました……!今週一週間も頑張れそう(;-;)とても面白かったです!ありがとうごさいます!!! (2021年12月13日 2時) (レス) @page17 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - aggyさん» お読みいただきありがとうございます!どうなるんですかねにやにや(笑)駆け足になりますが彼らを見届けてくださいね!コメントありがとうございます(^^) (2021年11月29日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - コメント失礼致します!いつもお話拝見させて頂いてます。今回のお話、読んでてニヤニヤしちゃいます笑笑今後の展開楽しみにしてます! (2021年11月27日 20時) (レス) @page50 id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月26日 11時