君の日記と冬の海

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「お待たせしました」


また爽やかな笑顔でやってきた店員さん。目の前に置かれたホットカフェラテはコーヒーとミルクが溶け合った優しい色をしていた。


「すぐフレンチトーストもお持ちますからね。寒くないですか？」

「あ、はい。大丈夫です」

「もし冷えちゃったら言ってくださいね、中に案内しますんで」


優しい店員さんだ。
気遣いもそうだし、笑顔も雰囲気も全部優しい。カフェ店員という職業がこんなにぴったりな人がいるかと思うほど。

カフェラテを一口含むと甘さも苦さも程よくて、色と同じように優しい味がした。あぁ、なんか昔のこの町の雰囲気みたい。今がそうじゃないってわけでもないけど昔の素朴なこの町の優しい雰囲気が感じられたような気がした。


海を眺めながら飲むこのカフェラテ。いいな、通っちゃいそう。本当に寒くなってベランダ席に座れなくなるまでに沢山来たいなって思った。せっかくここに戻ってきたんだもん、楽しまなきゃ。



「お待たせしました」


海をまたぼーっと眺めていたら後ろから聞こえてきた声。


「ふふ。ごめんなさい、驚かせちゃいました？」

「あ！いえ」

「綺麗ですよね。僕もずっと見ちゃうんですよ」


そう言いながらフレンチトーストを置いてくれた店員さん。甘い香りがするそれは程よく焦げ目がついて、その上に粉砂糖がかかっている。生クリームが添えてあって、別添えでメープルシロップも。シンプルだけどオシャレでそれこそ思わず写真が撮りたくなるような。


「うちのシェフの自信作です」


そう言ってニコッと笑った店員さん。ごゆっくりどうぞと残して去っていく姿にまたふんわりとした優しさを感じた。



「おいし……」



ふわふわのフレンチトースト。自分でぱぱっと作ったものとは大違い。今まで食べた中で一番おいしいかも。

すごくいい場所を見つけたかもしれない。変わった風景が寂しいとか思ってたけど、ここを既に気に入ってしまった自分がいた。

おしゃれな町になったんだなぁと、海を眺めながらカフェで過ごしている自分の状況を見て思う。きっとここの他にもオシャレなカフェなんかはあるんだろうけど私はここで満足だな。


食べ終える頃にはちらほらと他のお客さんも店内に増えてきた。ベランダ席は今自分が座っているのを含めて丸テーブルの2人席がふたつ。その片方の方に座った2人組はきれーい！と海を見てはしゃいでいた。

この席、争奪戦なんだろうな。

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