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「全然帰ってくるつもりだったんですけど……同期の人がなんか困ってる?というか何か悩んでるように見えて心配で。4人で集まってたんですけど解散してからも付き合ってあげたんですよね。そしたらこっちに向かう電車無くなっちゃって。その人送り届けてから急遽安いホテル探して泊まりました。笑」
ただどう伝えてもそういう流れに聞こえてしまうのは避けられないと感じて佐久間の家に泊めてもらったという事実は伏せた。
まぁ…こんなに必死になる理由もないんだけど。
現に何をしたわけでもないし。
そもそもその同期が男かどうかも阿部さんは分かってないから普通に泊めてもらったでよかったのでは。
そうだ、今気づいた。
逆に男だって分かるじゃん。
いやだったらホテルで正解なんだ、そうだ。
「そっかぁ、大変でしたね。もうちょっと電車の便増えてくれればいんですけどね。笑」
「そうですねぇ、1時間にあと一本増やしてくれると楽になるんですけど」
内心なぜか焦ってる私に対して阿部さんは穏やかな表情を崩さずに案じてくれた。
私…何してるんだろう。
「Aちゃん」
「え?」
「って呼んでもいい?」
海を見て心を落ち着かせていると急に慣れない呼び方で名前を呼ばれた。思わず横を見ると私の方を見ている阿部さん。
「いや、同い年だし…仲良くなりたいって言ってる割に敬語なのもなぁって。嫌なら無理に呼ばないけど」
「あ、いや…大丈夫です……うん?大丈夫、だよ?」
しどろもどろになりながらもタメ語で返すと阿部さんはふわっと笑った。
「よかった。俺のことは好きに呼んで?」
そう言った彼のサラサラした前髪が風で目にかかったのを見て、そして今までずっと一人称が"僕"だった彼の自然な"俺"を聞いて何だかドキッとしてしまう。
「……あー、なんて呼ばれてるの?」
「んー、阿部ちゃんが多いけど……中々無いから下の名前で呼んでくれると嬉しいかも。亮平っていいます。笑」
「亮平くん…?」
名前を呼ぶと嬉しそうに笑った彼。この人、なんかずるい。言葉がストレートで、ちょっとした所にギャップを感じさせて、かと思えばまた可愛く笑って。でもそれがわざとらしく無い、彼の本質なんだって分かるのが一番ずるい。
「あ、コーヒー飲んでって!まだオープンまでちょっとあるからさ、サービスする!」
風がひゅうっと吹いたタイミングでこういう事を言うのも、なんだかずるい。
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ぽぷら(プロフ) - お風呂場の狸さん» いつもコメントありがとうございます!また泣かせちゃった…(笑)お楽しみいただけたようで嬉しいです。寒くなってきてお仕事だとか、朝起きるのも億劫な季節ですよね。お互いに頑張りましょうね( ; ; )こちらこそありがとうございます! (2021年12月19日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
お風呂場の狸(プロフ) - めちゃめちゃ泣きながら読んでいま全てを踏まえて読み返してます……ほんとに天才です最高です……今日も6時半起きで仕事なのに一気読みしちゃいました……!今週一週間も頑張れそう(;-;)とても面白かったです!ありがとうごさいます!!! (2021年12月13日 2時) (レス) @page17 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - aggyさん» お読みいただきありがとうございます!どうなるんですかねにやにや(笑)駆け足になりますが彼らを見届けてくださいね!コメントありがとうございます(^^) (2021年11月29日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - コメント失礼致します!いつもお話拝見させて頂いてます。今回のお話、読んでてニヤニヤしちゃいます笑笑今後の展開楽しみにしてます! (2021年11月27日 20時) (レス) @page50 id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月26日 11時