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「え、あ……ううん」
「嫌?」
「大丈夫…」
スマホの光が見えてしまったのだろうか。佐久間の眠そうな声で急いでその光を消した。
私も背を向けているから佐久間がどんな体勢なのかは分からないけど。何も言わなくなったので多分寝たんだなと察した。
「、え……」
もう私も寝よう。そう思って目を閉じた時、お腹の辺りに腕が回ってきた。思わず小さく声を発してしまう。
「さくま…?」
背中におでこがくっついているのが分かる。呼びかけても返答はなく、聞こえてきたのは規則正しい寝息だけ。寝ぼけて彼女と間違えてたりしてるのか、それかいつもは抱き枕でも使ってるのか。
ちょっとドキッとしてしまったじゃないか。バカ。
心の中で少しの文句をぶつけ、でも人の体温のせいかどんどん強くなっていく睡魔に吸い込まれるように私は目を閉じた。
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目が覚めたのはいつも私が仕事の日に起きるくらいの時間だった。ぼーっとする頭の中でひとつだけ感じたのは佐久間の腕が離れているということ。よかった、と安堵のため息。
後ろを振り向くとすやすやと寝ている佐久間の顔が思ったよりも近くてびっくりする。
私はそっとベッドを抜け出して、借りていた服から着替えた。そしてお直し用のポーチでできるだけの化粧を軽く施し、佐久間に置き手紙と昨日買った二日酔い用のドリンクを添えて部屋を出た。
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泊めてくれてありがとう
気持ち悪いだろうからこれ飲んで
今日はゆっくりして
月曜ちゃんと出社すること!
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LINE入れとくのでも良かったんだけど。
何だかそれだと冷たい気がして文字にした。
外に出るとまだ朝だからか少し寒さを感じる。スマホで佐久間のマンションから私の目的の駅までの経路を調べる。こっちに住んでた時でさえ佐久間の部屋にお邪魔することなんてなかった私は、ここがどこだかいまいち分かってなかった。
「元住んでた所からも真逆だ……」
本社を中心にして見ると私が元々住んでいた場所からも真逆な位置の場所だった。これ、同期会の場所考え直さないとじゃない?てか、大変なんだからわざわざやらなくてもいいのにな。
……なんてのはちょっと寂しいけど
"だって来月まで会えないんでしょ?寂しいだろーが"
来月はまだしも、3人に会えなくなってしまったら確かに寂しいかもしれないな。
同期の存在のありがたみを改めて感じながら、私は地元へと帰ったのだった。
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ぽぷら(プロフ) - お風呂場の狸さん» いつもコメントありがとうございます!また泣かせちゃった…(笑)お楽しみいただけたようで嬉しいです。寒くなってきてお仕事だとか、朝起きるのも億劫な季節ですよね。お互いに頑張りましょうね( ; ; )こちらこそありがとうございます! (2021年12月19日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
お風呂場の狸(プロフ) - めちゃめちゃ泣きながら読んでいま全てを踏まえて読み返してます……ほんとに天才です最高です……今日も6時半起きで仕事なのに一気読みしちゃいました……!今週一週間も頑張れそう(;-;)とても面白かったです!ありがとうごさいます!!! (2021年12月13日 2時) (レス) @page17 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - aggyさん» お読みいただきありがとうございます!どうなるんですかねにやにや(笑)駆け足になりますが彼らを見届けてくださいね!コメントありがとうございます(^^) (2021年11月29日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - コメント失礼致します!いつもお話拝見させて頂いてます。今回のお話、読んでてニヤニヤしちゃいます笑笑今後の展開楽しみにしてます! (2021年11月27日 20時) (レス) @page50 id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月26日 11時