君の日記と冬の海

この季節 ページ16

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〜♪


阿部さんとたわいもない話をしながらサンドイッチを頂いていると携帯が鳴った。


「あ、気にしないでいいですよ。ここで出てもらって大丈夫です」


外に出た方がいいかなとキョロキョロしてる私の様子を察したのか、阿部さんはそう声をかけてくれた。



「あ、すみません。じゃあ失礼します…もしもし？」

『お、お疲れ』

「お疲れ、どうしたの？」

『お前電車で来るでしょ？どこで降りんだっけ』

「え、○○だけど」

『迎え行くわ、店の場所分かんないっしょ？』


電話の主は数時間後に会う予定の人だった。

いつもの場所ではなく、一応気を遣ってくれたのか私が帰る方向のお店に集まる予定だった。確かに初めて行くところではあるけど


「え、いいよ。佐久間の家からだと遠いでしょ？」

『ちょっと分かりずらいところにあんの。迷子になられるよりマシだから』

「へぇ、何か子供扱いされてる気がするけど」

『素直にありがとうって喜べよ』


着く時連絡してーって佐久間は電話を切る。何だ、まだ集合までは時間あるんだからLINEでもよかったのに。


「すみません」

「いえいえ、お友達ですか？」

「あー、職場の同期…元職場か。このあと集まる予定があって」

「○○までって一時間半くらい乗りますよね？まだここにいて平気ですか？」

「あ、全然。ここから直接駅行こうと思ってたので」

「よかったぁ、せっかく僕休憩になったのにもうバイバイかなって寂しくなっちゃいました」



阿部さんの言葉にちょっとドキっとする。言うことが可愛すぎないか…？今まで周りにいた男性とはタイプが違う人だと察してはいたけどこんなに素直に可愛いことを言う人は本当に初めて出会った。



「そう、ですか？」

「ここにきて初めてのお友達ですもん」



ニコニコしてサンドイッチを食べる。無意識なのかなぁ。さっきの佐久間の感じと変に比べてしまって苦笑い。



「にしても平日は毎朝早いんじゃないですか？大変ですね」

「まぁ…でもわざわざ異動させてもらってここに住んでますし。自分で決めたことだから文句言えないですよ。笑」

「すごいなぁ、僕朝あんま得意じゃなくて。特にこれからの時期は布団から出たくなくなります」

「寒くなってきましたね」

「あ、ベランダ席行きません？」


ちょうど今ラウールくんが1組のお客さんを見送った。確かさっきまでベランダ席にいた人たちだ。



「本当に寒くなっちゃう前に、ね」

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