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やっぱり同郷っていうのは少し年が離れてても会話が弾むもので。気がついたら彼の休憩中ずっとこの町の話をしていた。
ラウールくんは高校3年生。平日は私が出勤に使っている在来線と同じものに乗って街の方の高校に通っているんだとか。ここって高校がないんだよね、だから高校進学を機に引っ越す子も多い中でラウールくんはずっと通いで頑張ってるらしい。
「え!僕より遠いじゃないですか!大変…」
「まぁでも睡眠時間と思えば。笑」
「そんなにここに帰って来たかったんですか?」
「うん、新卒の時からずっとね」
「へぇ…」
「ラウールくんは来年からはどうするの?」
「大学には行きたいなって思ってるんですけど、流石にそうなるとこの町を出ることになるのでちょっと寂しいです」
彼もここが好きなんだなぁ。都会に出たいって言う人が大半なこの町の若い人の中では珍しい。でも何だか私と同じ人種な気がして嬉しかった。
「盛り上がってましたね。笑」
休憩時間が終わり裏に戻っていったラウールくん。私たちの元を離れていた阿部さんが再び私の前にやってきた。
「いい子ですね」
「はは、僕より仲良くなってません?」
「うーん、笑」
「お時間平気ですか?僕ともお話ししましょうよ」
気づけば少しだけ店内のお客さんは減っていた。お昼のピークが終わったんだと理解する。
「あ、よかったらこれどうぞ」
「え、いいんですか?」
「舘さんが2人でって。笑」
差し出されたのはサンドイッチ。チーズやハム、レタスなどが入ったシンプルなものだけど何故かとてもおしゃれに見える。
「僕も軽くお昼休憩です。常連さんにはサービスってことで。お腹空いてません?」
「追加で何か頼もうと思ってました」
「ふふ、これメニューに無いんでお代は頂かないですよ」
そんな、まだ3回目なのにこんなサービスを受けていいのだろうか。阿部さんはコーヒーの入ったカップを持ってこの前のように隣に座ってくる。
「ありがとうございます」
「それただのサンドイッチに見えるんですけど、食べたらびっくりですよ」
そう言ってそのサンドイッチを一口食べた阿部さん。それに続いて私も頂くと、コンビニとかで買って食べるようなものとは全然違う。
「おいし…!」
「だてさんの特製ソースです。普段は別のメニューに使ってるんですけど」
「へぇ…すごい…」
阿部さんは自分のことのように得意気に笑った。
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ぽぷら(プロフ) - お風呂場の狸さん» いつもコメントありがとうございます!また泣かせちゃった…(笑)お楽しみいただけたようで嬉しいです。寒くなってきてお仕事だとか、朝起きるのも億劫な季節ですよね。お互いに頑張りましょうね( ; ; )こちらこそありがとうございます! (2021年12月19日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
お風呂場の狸(プロフ) - めちゃめちゃ泣きながら読んでいま全てを踏まえて読み返してます……ほんとに天才です最高です……今日も6時半起きで仕事なのに一気読みしちゃいました……!今週一週間も頑張れそう(;-;)とても面白かったです!ありがとうごさいます!!! (2021年12月13日 2時) (レス) @page17 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - aggyさん» お読みいただきありがとうございます!どうなるんですかねにやにや(笑)駆け足になりますが彼らを見届けてくださいね!コメントありがとうございます(^^) (2021年11月29日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - コメント失礼致します!いつもお話拝見させて頂いてます。今回のお話、読んでてニヤニヤしちゃいます笑笑今後の展開楽しみにしてます! (2021年11月27日 20時) (レス) @page50 id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月26日 11時