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「さっきはありがとうございました」
恐怖で青かった顔色も多少良くなり、表情がいくらか和らいだところで彼女がぺこり、頭を下げる。
「何があったんですか？」
「……そ、その、気のせいだと思ってたんですけど」
彼女が重い口調で話し始めた。
「触られてる気が、して……」
指のようなものが撫でるように触れたと感じた瞬間、言い知れない恐怖に襲われ、どうにか逃げたかった。ところがあの混雑の中じゃどこにも逃げ場がない、そこでまた触れた指先のようなもの。
「誰かの荷物がぶつかってるだけかもしれないし、だから……っ」
「でも、気のせいじゃなかった？」
俺の言葉にこくりと頷いた。
カーブの揺れで俺にぶつからなければ、その蛮行はさらにエスカレートしたかもしれないと怒りすら覚えた。
「気づけて良かったです。でも、犯人、捕まえるべきでしたね」
「いいんです……ナムジュンさんに助けて貰えただけで十分です」
微笑んだ彼女にドキッとした。まさか名前知っててくれてたなんて。
まぁ、同じ課にいるんだから、大したきっかけがなくても名前くらいは知られるだろう。特別な事じゃない。
頭では分かっていても、何故か彼女に呼ばれて鼓動が早まるのを感じた。
「もう同じ目に遭わない様に時間、ずらして乗った方がいいかもしれませんね」
「そう、ですね」
俯き、声のトーンを落とした彼女。
(何だよその、ちょっと残念。みたいな反応は。自惚れさせたいんですか、俺の事？)
ていう本音はさておき。
「一本時間を早めるだけでもきっと違いますよ。でも一度警察に相談はした方がいいでしょうね」
「はい……そのうちに」
「何ならボディガードでもしましょうか？あ、それとも手摺代わりにでもなりましょうか？」
「そんな……どちらも恐れ多いです」
キュッと目を細め、柔らかく口角を引き上げた彼女の微笑に何故か胸の奥がきゅーっと苦しくなった。
電車が滑り込んでくる。
もう快速が運行する時間はとっくに終わっていた事もあって、今夜はこの酒気漂う最終電車でこのままそれぞれの最寄り駅まで帰る事にした。
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あがしおん(プロフ) - miyaさん» いつもコメントありがとうございます！ジンくんはほんわかあったかい感じがよく似合いますよね！気に入っていただけてよかったです！ (2019年12月7日 14時) (
レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - 大好きなジンくんのお話ありがとうございます(≧▽≦)そうこのゆったりとした空気感が大好きなんです！寒くても、ジンくんの周りは温かいですね( 〃▽〃) (2019年12月7日 13時) (レス) id: 6284949262 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» 私も国語の授業は漫画本隠し読みしてた類の人間ですよ！でも、お気に召していただけて何よりです〜♪ (2019年10月14日 1時) (レス) id: d4473d8198 (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - あがしおんさんの愛情いっぱいの言葉、大好きです(T△T)あぁ、本当に国語の授業寝ていた自分が恨めしい。。。。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: 6284949262 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» miyaさん、コメントありがとうございます。作者も泣いております。近頃は涙腺がユルユルで……。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: d4473d8198 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年8月22日 8時
