見えない翼 Ⅱ (ページ22)

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『お先に失礼します、！』

「はい、気をつけて」

仕事を終え笑顔の佐々木さんに見送られる。

タクシーを急いで捕まえて向かう先は紫耀の家で。

『、、、』

流れる景色を眺めながらふと物思いにふける。

まず、なんて伝えよう。

あ、ていうか連絡しといた方がよかったよね？

ずっと、連絡を絶ってしまっていたのに。
今更"何？"ってきっと思うんだろうな、、

ガサゴソと鞄を漁ってスマホを取り出す。

『、、あ、』

、、、ない。

まずい、思えば今日スマホを触った記憶がない。家に置いてきてしまったかも。

『、、すみません、』

「はい」

行き先をまずは自分の家へと変更。

暗くなってきた空からは気づけばポツポツと雨が降り始めていた。

傘も取ってこないと、、

『すみません、ちょっと待ってて下さい』

運転手さんにそう告げてマンション下から走り出す。

ポツポツ降っていた雨はいつの間にか土砂降りになっていて。

少しの距離なのにも関わらずびっしょり濡れる。

日中はまだ暑いものの夜になるとやっぱり肌寒い。

濡れた身体をさすりながらエレベーターを降り家へと走る、

と、家の前にしゃがみ込む人が見える。

ハットを深く被りマスク姿。

『、、紫耀、？！』

「、、、A、」

そこには会いたかった人。

紫耀がいて。

久しぶりに会う紫耀にドキドキする。

心なしか少し痩せた、、？

『、、、どうして、』

「だってお前返事くれないんだもん」

ふにゃ、と笑う紫耀は髪もびしょ濡れで。

『ごめ、っ、とりあえず入って、』

「、、ん、」

腕を引っ張るとその冷たい身体にびっくりする。

『、、いつからいたの？！』

「わかんねぇ、」

『ごめん、、』

その冷たさから待っていた時間の長さも伺え胸が痛んだ。

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