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Side Ymmt
「おつかれなのにすみません、山本さんはどちらなんですか？」
煙草を灰皿に押し付けると、カバンをもってそう聞いてくる。…これでぼくもあっちって言ってもだいじょうぶなんだろうか。なんか怪しくない？
とは思っても同じ方向に家があるのは本当なんだからしょうがないよね…？
「僕もあっちなんです」
正直にそう指をさしていうと、彼女はえ、と驚いたように瞳を見開いた。そして、またやわらかい笑顔を見せて。
「じゃ、帰りましょ」
そう言ってくれた彼女に甘えて一緒に歩き出す。僕の家までここからあるいて5分ほど。この5分間が沈黙のままなのは避けたかった。何を切り出そうか少しだけ悩んで、隣を歩く彼女をちらりとみる。
…毛先、色違うんだ。この暗さでもわかるくらいだから、もしかして相当明るいのかな、なんて、仕事場以外の彼女に触れることができて嬉しくなる。
「山本さんは普段こんなに遅いんですか？」
悩んでいる間に彼女がそう口を開いた。
「あー、今日は特別。僕もトラブルがあって」
まあ、もう少し早く帰っても家で起きてるんですけど、と付け足す。お互い大変でしたね、と二人で顔を見合わせて苦笑した。
「…宮前さんは、いつもあそこで煙草吸うんですか」
やっと出てきた疑問はそんなもので、突拍子もないそれに彼女は小さく吹き出す。
「そうですね、いつもこのくらいまで店にいて、仕事終わりにあそこで吸って帰るのが日課です」
聞きたいことがたくさんあった。
いつもこのくらいって、どれだけ働いてるの？日課ってことはあそこでまた会えるかもしれないってこと？
でもそれを全部ぶつける前に、僕のアパートへの曲がり角についてしまった。
「僕、ここ曲がるので」
「そうなんですね、私一つ先です。…ご近所ですね」
「ほんと、びっくりしました。…またお店で」
「はい、お待ちしてます」
じゃあ、とぺこっと頭を下げて歩き出す彼女。おやすみなさい、と後ろから声をかけると振り返ってまた軽く頭をさげた。
…またお店じゃないところでお話できますように、と願ってはいけないだろうか。ただの店員と客の関係から、どうにか進展できないだろうか。
もっともっと、彼女のことを知りたくなっていた。
一人考えながら曲がり角からほどなくして現れたアパートの階段を三階まであがる。
部屋の電気をつけて、そのまま椅子に座り込んだ。
ああもう、なんで僕の恋愛はいつもこうなんだろ。
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黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます！私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…！次回もよければぜひよろしくお願いいたします！ (2020年6月15日 14時) (
レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます！私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます！日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです！ぜひこれからもよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます！コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした！とってもとっても素敵でした…！！山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄色い恐竜
| 作成日時：2020年5月21日 21時
