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めまいがする。脳みそそのものを素手でかき混ぜられてるような、変な感覚。気持ち悪い。

次々に並べられる、その言葉は。
わたしが最も恐れていたものだった。




光くんが、バレーよりわたしを選ぶことなんてないと、思い知らされる。

それなのに、昨日の光くんを思い出しては、胸の奥がギュッと痛む。





何が本当の光くんなのか、わからない。




どうしていいかわからなくて目を閉じた時に、ふと赤葦先輩の声が聞こえた気がした。








〈 「Aさんが見てきた木兎さんが全てだよ」 〉








そうだ。赤葦先輩に、もう二度も教えてもらった。

光くんが、どういう人か。
いつだって前だけを見てて、バレーが大好きで、バレーばっかりで。


でも、絶対にわたしを置いていったりなんてしない。拒絶したりなんてしない。

いつだって、わたしを、
ちゃんと見てくれてる。考えてくれてる。


優しい目で、見てくれてる。






目を閉じたまま、ゆっくりと深呼吸をひとつして気持ちを落ち着かせる。

大丈夫、もう迷わない。
わたしも、ちゃんと光くんを見る。
光くんが見てくれていたみたいに、わたしも。






「だからさ、」

『っ、』






そう、思ったからかな。
目を開けて光くんの笑顔を見た瞬間に、喉がヒュッと音を鳴らした。



ちゃんと見て、わかってしまうのも、どうかと思う。

光くんを信じて、今まで見てきた光くんを信じて、そうしたら、見えてきたもう一つの光くん。






「俺、Aには、幸せになってほしいって思った」

『……光、くんは?』

「…俺は、バレーやるよ。ずっと、強くなる」






ねぇ光くん。
何でそんなに優しい目をしてるの?
何でそんなに寂しそうに笑うの?


キラキラ、大好きな眩しいほどの笑顔が歪んで見えて、ギュッと胸の奥の辺りが掴まれたように痛む。






「俺は、今よりもずっと強くなるからさ」






息が詰まる。
光くんから目を離せない。




その優しい目。
その寂しそうな笑顔。

その答えが、わかった気がした。



合わさったその目から、感じてしまった。
苦しいほどの、切ないほどの愛情。
今すぐ叫びだしそうなほどの、恋情。




ずっとほしかった、ずっと知りたかった。
光くんの感情がやっと手に入ったのに。






「だからAは、幸せになって」






もう一度そう言った光くんは、光くんの幸せの中に、わたしはいないとでも言うように。

もう、わたしの目を見なかった。

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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます!励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2022年11月30日 21時

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