番外編 _ お正月�� ページ42
結局、名前は聞けなかったけど、でもいい人だったな、なんて見送っていると。
突然、ぐるん、と振り向く身体。
そのまま光くんの手が目の前に伸びてきて、差し出された甘酒を反射的に受け取る。
まだほんのり温かいそれに嬉しくなって、ありがとう、と言いかけた、その瞬間。
『えっ、ちょ…っ！』
視界がグワッと揺れて、身体が傾く。
遠くで、黒髪のお友達に、茶髪のお友達が駆け寄っていくのがチラリと見えた。
けど、それを追う暇もなく、すぐに目の前が真っ暗になる。
背中に感じる力強さと温かさ。
息を吸い込む度に感じる光くんの匂い。
光くんに、抱き締められてる。
「…Aは」
『…』
「Aは、俺んとこいなきゃダメだかんな」
何、それ。
真っ暗な視界、光くんでいっぱいの中。
その声に、一瞬にして顔に熱がこもる。
心臓がうるさい。
顔が熱い。
息ができない。
〈 「絵馬んとこでもさ、すっげー必死な顔して手合わ
せてて、ブツブツずっとうるせぇの。Aがー
Aがー、ってそればっか！
絵馬に書いてあることもさ…ってこれは言わない方が
いいんだっけ。
ま、とにかく、普段の話もだけどさ、今日の初詣
も、絵馬も、Aちゃんのことばっかだったよ」
『…光くんが、ですか？』
「大事にされてんね。受験、頑張って。そんで梟谷
来てよ」 〉
酸素が回らない頭に、さっきの彼の言葉が流れてくる。
名前のこと。梟谷の受験のこと。
どうして彼が知ってたのか、なんて、わからないほどバカじゃない。
わたしも、光くんの、大事なものになれてるって思っていいのかな。
「あ！すまんA！！
息できてたか！？顔真っ赤だぞ！」
『あ、だ、大丈夫…！』
「何かさー、アイツとばっか仲良さそうなのがムカついちまった！
Aは俺と初詣来てんのにーって」
『っ、！』
ぱっ、と離れた光くんに、寂しいなんて思ってしまうのに。
でも、光くんの一言でまたすぐに嬉しくなって、心臓が痛くなる。
その、照れたように笑う姿が、愛しいと思う。
わたしも、光くんの、大事なものになれてるのかもしれない。
そう、思えた、幸せな記憶。
《 光くんと並んで歩けますように 》
いつか、叶いますように。
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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます！励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (
レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2022年11月30日 21時
