幸せ ページ46
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それから、東卍の皆と12年ぶりに顔を合わせた。といっても、たかくん、パーちゃん、一虎くん、千冬くんの4人くらいしかわからないけど。
たかくんは「おかえり」とだけ言って頭をワシャワシャと撫でてくれた。パーちゃんは「元気そうで良かったよ」、一虎くんは少し戸惑った顔をしながら「久しぶり」と言ってくれて、千冬くんはいつもの笑顔で「綺麗になったっすね」と。
皆、あの時と変わらず、でもなんとなく丸くなって、時間とは一つの解決方法なんだと強く思った。
「A」
『ん?』
今は、さっきの綺麗なお庭で2人で歩いている。
さっきまで、ここで馬鹿みたいに言い合いをしていたのに。
「おかしなもんだなー」と呑気に思う。
「俺の名前呼んで」
万次郎は私の少し前を歩いて、そう言いながら振り向く。
「急になんだろう」と思ったけれど私は彼の要望通り彼の名前を呼んだ。
『万次郎…?』
「違う」
気に入らなそうに少し不貞腐れる万次郎。
そんな彼にひとつ笑みをこぼして私はこう名前を呼んだ。
『まんじろー』
「そう」
『(……なんだろう、この気持ち)』
ああ、そうだ。
あの時も、あの日も、毎日、こんなに幸せな気持ちだったんだ。私、ちゃんと幸せだったんだ。
『(…なんだ)』
心が、欠けていた何かがどんどん埋まっていくように、私の心が満たされていく。
彼の存在が、私を私のままでいさせてくれる。
『…ねえ、まんじろー。私のこと許してくれる?』
簡単に、貴方の手を離したこと。貴方のそばを離れたこと。命を手放そうとしたこと。
挙げても、キリがない。私の、罪。
「許す」
ジッと強い力で私を見つめ、右手を握る。
「…その代わり、俺のことも許して欲しい。お前の父さんとの約束を破ったこと」
『……なんのこと?』
「二度と目の前に現れないでくれ、それがAの父さんと最後に交わした約束だ」
目を見開いた。
『(……何それ)』
知らない、知らないよ。
左頬に彼の手が添えられて親指の腹でなぞられる。
『…許すよ』
絶対。
『許してくれるよ』
その代わり_____
『ちゃんと幸せになれって』
私たちがしっかりこの手を離さず歩んで行ければ。「それでいい」とお父さんとお母さんは笑ってくれるだろう。
「愛してる、A」
『愛してる、まんじろー』
そっと、唇を重ねた。
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水原カノ(プロフ) - くろしばさん» 嬉しい限りです( ; ; )拙い文章ですが、番外編でもよろしくお願いします…!(*´꒳`*) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - みきさん» そう言っていただけて嬉しいです…!まだ続きますがよろしくお願いします(*´-`) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
くろしば(プロフ) - いつも楽しくワクドキ泣きもしながら読ませていただきました!番外編楽しみにしています!応援してます!頑張ってください! (2022年1月22日 22時) (レス) @page50 id: ba268ba5be (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 番外編楽しみにしてます!この作品めちゃ面白かったです!頑張ってください! (2022年1月22日 16時) (レス) @page50 id: 23779c598a (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 茶子さん» 素敵なコメントありがとうございます(;_;) ティッシュの供給は間に合っていますでしょうか…?いつでもプレゼントします!(*´ω`*) (2022年1月15日 22時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水原カノ | 作成日時:2021年12月23日 17時