全部やり直せたらよかったのに ページ38
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おかしいな、幻聴まで聴こえる。
どれだけ意識が朦朧としてるんだろう。
「やめろ!!A!!」
さっきよりも近くに聞こえる声。
『(…あれ、本当におかしい)』
「A!!」
必死になって私を呼ぶ声。
思わず、後ろを振り向いた。
『…な、んで』
どうして。
「…こっちに来い」
こんな時に限って、ちゃんと目が合うんだね。
遅いよ。今更だよ。無理なんだよ。戻れないんだよ。
『…行かない』
聞こえるかわからないくらいの小さい声でそう呟く。
「お前…!何やろうとしてんのかわかってんのか!?」
はあ?
わかってるわ、そんなこと。自分で決めてやってんだから。
『…じゃあ、万次郎も一緒に死んでよ』
今までにないくらい、怒気を含めた声で私はそう言った。
『私、本当にもう死にたいの。そばにいて欲しい人がそばにいない、今の私の苦痛が貴方にはわからないでしょ…』
ポタポタと涙が馬鹿みたいに溢れて溢れて、止まらない。
『(…なにこれ、本当大人げな)』
私、いつまで子供なんだろう。こんな自分も嫌いだ。
『…唯一、“いい”って思える時間があったとしたら、真一郎を好きだった時、万次郎が恋人だった時、万次郎と愛を確かめ合った時』
そう言いながら、後退りをしてさらに空へと近づく。
「A…ッ」
『私!何をどうすればいいのかわからない!!』
彼が私を呼ぶ声を塞ぐように私は言葉を畳み掛ける。
『貴方にも拒絶された。あとは死ぬしかないよね』
「やめろ!!」
『さようなら』
もう、二度と_____
「っA!俺を見ろ!こっちを見ろ!!」
違うな。
もう一度、もう一度だけ_____
『全部、やり直せたら良かったのに…っ』
そう静かに、彼らがいる空へとこぼした。
“A”
『…っぇ』
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水原カノ(プロフ) - くろしばさん» 嬉しい限りです( ; ; )拙い文章ですが、番外編でもよろしくお願いします…!(*´꒳`*) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - みきさん» そう言っていただけて嬉しいです…!まだ続きますがよろしくお願いします(*´-`) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
くろしば(プロフ) - いつも楽しくワクドキ泣きもしながら読ませていただきました!番外編楽しみにしています!応援してます!頑張ってください! (2022年1月22日 22時) (レス) @page50 id: ba268ba5be (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 番外編楽しみにしてます!この作品めちゃ面白かったです!頑張ってください! (2022年1月22日 16時) (レス) @page50 id: 23779c598a (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 茶子さん» 素敵なコメントありがとうございます(;_;) ティッシュの供給は間に合っていますでしょうか…?いつでもプレゼントします!(*´ω`*) (2022年1月15日 22時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水原カノ | 作成日時:2021年12月23日 17時