・ ページ22
□
タケミチくんにつられて2人であたふたしていると「2人とも落ち着け」と青宗くんの声が聞こえて静かになる。
心なしか、青宗くんは笑っていた気がする。
『…万次郎は、弱い男の子だから誰かが叱ってくれる人がいて良かった』
ずっと気にかかっていたこと。
12年前のハロウィンでの一件で、彼はたまに人でなくなる瞬間が訪れることを知った。
私がいなくなってから、エマだけでなく、東卍のメンバーも彼を支えてくれていた。
万次郎には冷たくあしらわれたけれど、今の姿はある意味最善を尽くした限りなのだと思う。
「…Aちゃん、俺、タイムリープしてたんです」
『…え?』
それは、何の前触れもなく告げられた。
「Aちゃんは、俺の世界では自 殺して、ヒナが東卍に殺された同日に亡くなっていました」
冷や水をかけられたんじゃないかってくらい全身が凍りついた。
「すみません、こんな話…」
『…ううん、聞かせて』
タケミチくんの話によると、東京卍會は反社会的勢力まで上り詰めていた。そして、ヒナちゃんはその抗争に巻き込まれて亡くなったらしい。
私は、万次郎とは確かにずっと幼馴染だったらしく、そして中学生では恋人になっていた。けれど、万次郎は“黒い衝動”を抑えられず、高校生になった途端私を突き放し、決別した。
ヒナちゃんとは当時通っていた塾で特に仲が良かったらしく、その関係は大人になるまで続いていた。
そして、結果的に万次郎を反社の道へ行かせてしまったことの後悔でヒナちゃんのニュースを知ってすぐに自 殺。
そう日記に書かれていたらしい。
タケミチくんはヒナちゃんを救う一心でタイムリープを繰り返し、様々なことにタケミチくんが介入したことでそもそもの運命が変わった。
『そっか…。だからだったんだね』
「何がですか…?」
『タケミチくんってなんか、変なパワーがあって…たまにおかしなこと言ってたし…』
「そ、そうですかね?」
『うん』
やはり、今ある現実が最善を尽くした限りなのだ。
タケミチくんの世界では、万次郎はどこまでも堕ちていって、それを私は見ていられなかったんだ。
私は、どこまで行っても私だった。
『きっと、たくさん頑張ったんだね。本当に本当にありがとう』
「っいえ…!」
彼の果てしない強さと優しさが私にはとても眩しく見えた。
□
771人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水原カノ(プロフ) - くろしばさん» 嬉しい限りです( ; ; )拙い文章ですが、番外編でもよろしくお願いします…!(*´꒳`*) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - みきさん» そう言っていただけて嬉しいです…!まだ続きますがよろしくお願いします(*´-`) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
くろしば(プロフ) - いつも楽しくワクドキ泣きもしながら読ませていただきました!番外編楽しみにしています!応援してます!頑張ってください! (2022年1月22日 22時) (レス) @page50 id: ba268ba5be (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 番外編楽しみにしてます!この作品めちゃ面白かったです!頑張ってください! (2022年1月22日 16時) (レス) @page50 id: 23779c598a (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 茶子さん» 素敵なコメントありがとうございます(;_;) ティッシュの供給は間に合っていますでしょうか…?いつでもプレゼントします!(*´ω`*) (2022年1月15日 22時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水原カノ | 作成日時:2021年12月23日 17時